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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 72

「・・・・・」
熱く激しい聖(性)夜は、唐突に始まりそして唐突に終わりを迎えた。
暗く物音一つしないリビングには、先ほどまでのむせ返るような熱気とソレ独特の匂いでいっぱいだ。
チラッと床に目をやれば、其処には全身を白く染め上げた婚約者たち。皆、それぞれが幸せそうな顔で規則正しい寝息をたてている。
壁に掛かった時計を見れば、後数時間で朝がやってくる時間帯―こんな時間まで起きているのは、俺ぐらいのモノだろう。

(皆・・・)
音一つしない静寂な世界で、俺は無意識にこれまでの事を思い返していた。

始めは嫌いだった。勝手に決められた婚約者、勝手に居ついた居候、勝手に俺の日常を壊した侵略者。

思い出せばキリがない。それほどまでに、彼女たちの存在は嫌いだったのだ。
(でも・・・)
その日の夜、アスカに夜這いをかけられ、その勢いで彼女と関係を持った。そしてそれを皮切りに、残りの四人とも関係を持った。

日に日に変わる俺の心境。日に日に変わる彼女たちの表情。何処か退屈だった日常がガラリと変わった興奮。
「もう・・・いいよな」

グッと両手に力が篭る。ためらう必要はもう何一つ無い。



「フンフン♪フフン♪フンフフフフ〜ン♪フ〜フフン♪」
12月31日大晦日の日。
その日の午後俺は暢気に鼻歌を鳴らしながら、竹箒で石畳を掃き清めていた。
「よし!おしまい!!」
落ち葉やゴミを集めて纏めてゴミ袋に入れた俺は、一仕事終えた達成感と、冬の澄んだ心地良い空気に軽く伸びをした。
「お疲れ様です信哉様。お茶を入れましたので一度休憩にいたしましょう」
「お、イイね!そうしよう!!」
俺は白い小袖と赤い袴という伝統的な巫女さん姿でやって来た深雪さんの提案に喜んで同意した。
今、俺と婚約者たちは、深雪さんの親戚が神主を務めるとある神社の手伝いに来ている。
この神社は市街地からさほど離れてもいない、大きなケヤキの雑木林に覆われた丘陵地にある小さな神社で、何時もなら神主さん一家だけで十分なのだが、間の悪い事に牡蠣鍋を食べたせいで、正月を前に神主さん一家が全員食中毒に中って入院してしまったため、急遽ピンチヒッターとして深雪さんに白羽の矢が当たったそうだ。
最初は素人である俺達だけで大丈夫かな?と思ったが、それほど大きな神社でもないので、今のところ何とか成りそうだった。
「この後どうするんだっけ?」
「今、アスカさんや恵理さん達が、本殿の方を清掃してくれていますから・・・それが終わったら、新しく仕入れたおみくじを整理したり、参拝者に振舞うお菓子やお神酒を用意したりですね・・・」
「やれやれ・・・」
大祓などの儀式は、午前中にスケットでやって来た他の神社の神主が済ませてくれたが、社殿や境内の清掃など本来ならば昨日までに済ませておくような仕事もけっこう残っていた。
その為、俺達は今総出で除夜祭の準備中だ。
もっとも、入院中の神主さん一家を責めるのは酷と言う物だろう。
「何にしても無事に間に合いそうでホッとしたよ」
「まあ、信哉様ったら本番はむしろ夜に成ってからですわよ?」
「まあねぇ・・・」

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