PiPi's World 投稿小説

“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 63
 65
の最後へ

“リア充”始めました 65

「おぉ?! ありがとう! 見ても?」
「あぁ、良いよ。 シンが絶対に喜ぶ物さ」
恵理から受け取ったクリスマスプレゼント――白い包装紙に赤いリボンが添えられている中くらいの大きさの箱を受け取り、テーブルの上に置く。
「さて、何かなっと・・・・え゛!?」
包装紙とリボンを外し、中に入っている物を見て俺は数秒意識をフリーズさせた。

彼女たちから贈られた俺へのプレゼント――それは、つい先月に某電機メーカーから発売された新型ノートパソコンだった。
見た目やその性能に惹かれ、欲しいと思うも学生の俺では手の出ない値段に泣く泣く諦めた一品。
そのパソコンが入った箱が今、俺の目の前に存在している。

「どお、気に入った? ほら、前使ってたのって僕たちが勝手に捨てちゃったでしょ? それじゃ可哀相って事でアルバイトをしようってなったんだ・・・」
「でも、私たちって・・・その、お金持ちのお嬢様じゃない? いくらアンタのためとは言え、何をしたらいいか全然分からなかった時に佐藤から誘われてね」
「それで彼のお父様が経営しているケーキ店の売り子をした。 と、いう訳なんですよ」
余りの出来事に呆然としている俺の横で恵理、アスカ、深雪さんら三人が順番に事のあらましを説明している。

しかし、そんな彼女たちの説明も今の俺には馬耳東風でしかなく、ただただその箱一点を凝視する。
「あの・・・兄様? 大丈夫ですか?」
「麗ちゃん、今の信くんには何いっても反応しないと思いますよ」
普段見せない様子に心配する麗とそれをやんわりとだが何気に酷い事を言って気遣うキャロル。

佐藤ら独り者共(誤字にあらず)が此処にいれば、さぞ血の涙を流して悔しがる光景だろう。

「ヒャッホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
俺は婚約者達からのプレゼントに、悦びの余り飛び上がると、彼女達を一人一人抱きしめキスの雨を降らせていく。
「ありがとう!ありがとう!ありがとう!!愛してるよ皆!!!!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!」
「ちょ!ちょっと止めてよ恥ずかしい!!」
「アハ!喜んでくれたのね信くん!!」
「兄様!!」
「ウフフフ」
「もう!シンったら!!」
愛する少年による熱烈な口付けの嵐に、少女達は照れ臭そうに頬を赤くしながらも、嬉しそうな笑みを浮かべる。
(あ!し、シマッタ!!)
だが、一時の興奮が収まると、俺は自分が重大なミスを犯している事に気が付いた。
「ご、ごめん皆・・・よく考えたら俺。皆へのクリスマスプレゼント買って無かった・・・」
本来なら昼の間に皆へのクリスマスプレゼントを買う心算だったのだが、佐藤の店での予定外のアルバイトで、すっかりど忘れしてしまったのだ。
(クソ!俺ってヤツは・・・皆は俺の為に慣れないアルバイトをしてまで、クリスマスプレゼントを用意してくれたのに・・・これじゃ恋人失格だ・・・)
俺はクリスマスプレゼントを用意し忘れた事で、婚約者たちに対して罪悪感を感じてしまう。
「はぁ・・・そんな辛気臭い顔しない。 どうせアンタの事だから、私たちにあげるプレゼントを用意してない事を気にしてんでしょ?」
「うぅっ?! 何故分かった・・・」
「シン、めっちゃ顔に出てたよ」
「ですね」
ストレートすぎる恵理の言葉とそれを聞いてうんうん、と頷く美由紀さん。ぶっちゃけ、精神的ダメージが凄まじい。
「イヤ、だってさ・・・。 皆が頑張って稼いだ金で買ってくれたのに、俺・・・何もしてやれないんじゃさ・・・」
「兄様・・・」
顔を伏せ、今感じている事を吐露する俺。普通なら逆のはずなのに、男として情けなさ過ぎるじゃないか。

「ふぅ・・・、信くん? 気にしないでください」
「っ!? キャロル・・・」
突如、頭を優しい温かさと柔らかさに包み込まれる。上半身は、細いながら何故か安心してしまう二つの腕の力によって拘束される。
そして、頭上から降ってきたのは呆れながらも母性に満ちた声音。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す