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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 58

「ぜぇ、ぜぇ・・・ど、どう?今度こそ私の勝ちでしょう?ウぇ」
「ふぅ、ふぅ・・・な、何言ってるんだよアスカ・・・どう見ても僕の方が先にゴールしただろう・・・うぇ」
一触即発のギスギスした空気のままプールまでやってきたアスカと恵理は、深雪の提案で何故か競泳で決着をつける事に成った。
正直俺はスポーツ万能な恵理の圧倒的勝利を予想していたのだが、アスカが意外なほど健闘し(何でも中学まで水泳部に所属していたそうだ)勝敗が付かぬまま競争は遂に八回目に達しようとしていた。
「もうやめとけ、お前らはよく戦ったよ・・・ここは引き分けって事で、お互いの健闘を称え合って・・・」
「冗談じゃないわ!」
「断る!」
俺の提案を一顧だにせず拒否すると、二人は不屈の闘志を燃やしながら、プールから床へと這い上がる。
「さあそろそろ九回目の勝負と行きましょうか恵理」
「くくく・・・良いだろう・・・次こそ敗北を認めさせてやる・・・」
「ハ〜イ!二人とも!準備はイイですか〜ァ?位置についてぇ〜・・・よ〜い!・・・ド〜ン!!」
深雪の掛け声と同時に、二人は実に美しいフォームで水の中に飛び込んでいった。
「・・・・・・・もう俺は知らん・・・・」
アスカと恵理の余りに強情な負けず嫌いぶりに、すっかり呆れ返った俺は、二人の事を深雪に任せて、素直にプールを楽しむことにした。



「あれ?どうしたんだい麗?」
アスカと恵理が競争していたプールから他のプールに向かう途中、俺はプールの端で泳ぎもせずに、一人ポツンと座り込んでいる麗を見つけた。
「あ!兄様」
「せっかくプールに来たのに泳がないのかい?」
そう質問すると、麗は恥ずかしそうに顔を赤くする。
「その・・・実は私カナヅチなんです・・・」
「ああ!そういえばそうだったね」
麗は昔海で溺れた事が有り、それ以来水に入るのに抵抗を感じるように成ってしまったのだ。
「そうだ!じゃあ、せっかくプールに来たんだから、俺が泳ぎを教えてあげるよ!」
「え!良いんですか?」
「ああ!もちろんだよ!」
俺の提案に麗は戸惑いつつも嬉しそうな表情を浮かべる。
「じゃ、じゃあご迷惑で無かったら是非」
「うん!それじゃあ決まりだね!・・・下のプールはアスカと恵理が使ってるから、二階のプールに行こうか?」
「ハイ!兄様!!」


とりあえず軽く準備運動をしてから、俺と麗は二階に在るアスカと恵理が使っているのより幾分小さめのプールに向かった。
「じゃあ、まずは顔を水に浸ける所からかな?」
「ハイ!コーチ!!」
俺がそう命じると麗は嬉しそうに応じる。
「いや・・・コーチって何?」
「ハイ!兄様は私に泳ぎを教えて下さるんですよね?ですから兄様はコーチなんです!」
俺の疑問に麗は当然ですと言った表情でそう答える。
「・・・まあイイや・・・とりあえず顔を水に浸けてみて」
「ハイ!コーチ!!」
そう言うと麗は勢い良くプールの中に潜ってみせた。
(ふーん・・・ちゃんと潜れるんだ・・・じゃあ、意外と早く泳げるように成りそうだな)
溺れた事がトラウマに成っている人間は、水に顔を沈めるという行為に恐怖を感じる事が多いという話を聴いたことがある。
それが真実だとすれば、麗のトラウマは意外と軽いものなのかも知れない。
「プハァ!・・・どうですか兄様!ちゃんと潜れましたよ!!」
「うん!偉い偉い」
(潜ってじゃなくて水に顔を浸けるだったんだけどまあ良いか・・・」
俺は水に濡れた麗の頭を優しく撫でてやる。
「えへへ」
麗は心の底から嬉しそうだ。
「次は?次は何をしますか?コーチ!!」
「う〜ん・・・まあ次はバタ足の練習かな?」
「ハイ!コーチ!!」
その後も麗は俺の指示するままに泳ぎの基本であるクロールまでマスターし、結局合計一時間ほどで泳げるように成ってしまった。
「プハァ!・・・はぁ、はぁ、どうですか兄様?」
「うん!ちゃんと泳げてるよ!」
「えへへ。ありがとうございます!」
泳げるようになった事がよほど嬉しいのか、麗は先程から休みもせずにプールで泳ぎ続けている。
「でも、そろそろ一度休憩しよう・・・さすがに疲れて来ただろう?」
俺の言葉に麗は一瞬不満げな顔をするが、素直に泳ぐのを止めると、プールサイドへと上がって来る。

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