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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 57

「うぅ〜・・・」
「どうかしたんですか? アスカちゃん」
一つのロッカーの前で水着姿のアスカが不機嫌な表情で、これまた不機嫌な声を上げている。
それを心配してか、隣で着替えていたキャロルが声を掛けた。
「・・・・キツイ・・・」
「へ?」
不機嫌の表情のままポツリと呟いたアスカの言葉に、キャロルを始め婚約者全員が動きを止める。
先ほどまで、あれほど騒がしかった更衣室が一瞬にして静寂に包まれた。
「水着がキツくなってる・・・・・胸の部分が特に・・・」
「アスカ、それは僕や麗に対する自慢か何かかい?」
彼女の言葉に真っ先に反応したのは、五人の中で最初に着替え終わり、深雪や麗と会話を楽しんでいた恵理であった。
その顔は硬く、学校で彼女に好意を寄せている女子や男子が見れば絶句すること間違いなしである。
「アラ!?それは下種の勘ぐりというものよ恵理。アタシはただ単に夏に新調したお気に入りの水着が合わなくなってしまったと嘆いていただけよ!・・・まったく、胸の小さい女は、ホント人間としての器も小さいのよね」
(カチン!)
アスカの嫌味に恵理は目を吊り上げる。
「ふん!要するにアスカが太ってデブ!に成ったって事か・・・きっと運動不足なんだよ。何なら僕と一緒に運動部に入らない?特に水泳なんかダイエットに良いらしいよ?」
「ふ、太ってなんか無いわよ!!」
そう反論しつつも不安に駆られたのか、アスカは自分の身体を目と掌で確かめるような仕草を行う。
「フフフ・・・自分で気付いてないだけじゃないのぉ?ホラ、こことか何だか以前よりプ二ッてしてない?」
「ひゃん!」
恵理にお腹の肉を掴まれ、アスカの唇から可愛らしい悲鳴が上がる。
「クスクス・・・ほら、やっぱり!」
「アン!ちょ、ちょっと!何触ってるのよ!あ、そ、そこはダメぇ!あ、ああん!」
先程の嫌味の復讐の心算か、アスカの可愛らしい悲鳴に悪乗りした恵理は、邪悪な笑みを浮かべながら彼女の身体を触りだす。
「フフフ・・・アスカってSに見えて実はMっ気が強いよね・・・ほら、どう?僕の手は気持ちイイかい?」
「き、気持ちイイわけないでしょバカ!さっさと止めなさいよ!!」
顔を真っ赤にして抵抗するアスカを上手く押さえ込みながら、恵理の掌は動き続ける。
「くくく・・・認めたまえアスカ!普段は高飛車で女王様気取りのお嬢様の桐生アスカは仮面に過ぎないんだ!本当の貴女は、虐げられる事に悦びを見出す牝犬だ!!」
興奮してすっかりハイテンションに成った恵理は、手を動かしつつ次々と卑猥な言葉を吐き続ける。
そんな二人のやり取りを深雪は楽しそうに、麗とキャロルは顔を真っ赤にしながら見つめている。
「うう・・・そ、そんな事ない・・・あ、あたしは雌犬なんかじゃない・・・」
恵理の罵倒にアスカは目に涙を浮かべた。
「まだそんな事を言うのかい?ほらほら、もっと無様にオネダリしたまえ!思う存分メチャクチャに蹂躙して下さいと、僕に慈悲を乞いたまえ!!」
「ぐ・・・ぐぐぐ・・・調子に・・・乗るなあああああああああああああああああああ!!!!!!」
アスカは絶叫と共に両手を振り回し恵理の拘束を免れると、恵理の顔面をグーで思いっ切りぶん殴った。
「ぐはぁ!!」
普段なら訳も無く避ける事が出来たのだろうが、アスカを虐める事に夢中に成っていた恵理は、彼女の拳を上手く避ける事が出来ず、顔面を打たれバランスを崩し、おまけに運の悪い事に倒れた時に後頭部を強打して、そのまま気を失った。



「と、いうわけで今皆さんは恵理さんを医務室へと運んでいる最中です」
「・・・・・・・」
麗の話を聴き終えた俺は、頭痛を覚えて頭を抱え込んだ。
(しょ、小学生か・・・ッ!)
心の中で見えない彼女たちに向かって罵倒する俺だが、けして間違ってはいないはずだ。
「あ、あの兄様? 頭を抱えてどうしたんですか?」
「あぁ・・・何でもない。 ちょっと頭が痛くなっただけだから・・・」
此方に心配そうな表情で問いかけてくれる麗。今だけは彼女の優しさが心にしみる。


「はぁ、まったく。 せっかく早く着替えて泳ごうと思ったのに、どこぞの“スポーツ馬鹿の所為”で遅くなったじゃない」
「おや? こっちは“太った雌犬の所為”で要らぬ怪我までさせられたんだけど?」
「あぁ、はいはい・・・喧嘩は其処まで」
「んん〜・・・日に日に深雪ちゃんがお母さんっぽくなってるねぇ」
待つ事およそ10分弱。廊下の方から賑やかな声が聞こえてきた。
「まだ喧嘩してるのか? あの二人・・・はぁ」
「あ、あはは・・・」
聞こえてきた二つの喧騒についついため息が出てしまう。そんな俺に、麗はどうする事も出来ずただ苦笑いを浮かべるだけだった。

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