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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 47



「ふぅ〜! 一仕事の後のお風呂は格別だねぇ〜♪」
「ご苦労様でした。 恵理さん♪」
所変わって、此処は悠木家リビング。其処で私は、ソファーに座りながらドライヤーで濡れた髪を乾かしていた。
夕食が終わってすぐ、深雪の指示で私は無断で家を出て行ったアスカを追跡した。
でも外は真冬並みの寒さ、「何故自分が」と内心愚痴をこぼしたけど、其処は女の気合で紛らわす。
そして、三丁目の公園に行ったのを確認し終えた私は、トンボ帰りの如く早々に家に帰宅。二度目の入浴を堪能させてもらった。
冷え切った体に温かいお湯はとても気持ちよく、不謹慎ながら「あ゛ァ〜・・・」と呟いてしまったのは最重要機密さ。

「で、良かったの? シンに任せちゃってさ。 シンって俗に言う“ヘタレ”でしょ? それに・・・」
ソファーで胡坐を掻いたまま、後ろで御茶をすすっているであろう彼女に声を掛ける。
「それに、“私たちを邪魔者扱い”していた・・・ですか?」
私が言いたかったことを、彼女はあらかじめ予想していたのか被せるように言う。
「・・・」
彼女の確信めいた言葉に、私は無言の肯定で返す。彼女が言った事は、私や彼女、それにキャロルや麗も感じていた事だ。
同棲生活を始める前、久しぶりに再会した時に彼は露骨なまでに私たちを毛嫌いしていた。
自分の知らぬ間に決められた婚約者との同棲生活。向こうにしてみれば、ソレは迷惑以外の何ものでもないだろう。

でも、私は彼と婚約が決まった時は、本気でこの世の春が来たと思った。
いくら幼かった時とは言え、一目惚れした相手と結婚できる事は女性にとってこれ以上ない喜びだろう。
「だけど・・・最初の再会の時はちょっとガッカリだったかな?」
「・・・」
思い出しながら、最初の再会を回想しながら感想を述べる私。彼女は無言で御茶をすするが、思っている事は一緒だろう。

「大丈夫かな? アスカとシン・・・」
「大丈夫ですよ。 恵理さん」
急に嫌な未来を想像して、不安な声でポツリと呟く私。その呟きが聞こえたのか、彼女はキッパリと言い切った。
其処に、不安の欠片は一つとして存在していない。

「・・・何で分かるのさ・・・」
振り返りながら、私は自分でも分かるほどの尖った口調で彼女に質問していた。
表情も、きっと鏡で見てみたらとても怖い形相をしているだろう。
自覚はある。でも、聞かずにはいられなかった。聞かなければ、納得できなかったから。
「だって例え何が有っても私たちが信哉様を好きな事に変わりないじゃ有りませんか!!」
「え?」
深雪はニコニコと笑いながらそう言う。
「私は例えアスカさんが正妻に選ばれても、信哉様のお爺さまの会社が倒産しても、信哉様がオカマさんに成っても構いません!何故なら私が信哉様を愛しているんですから!!それさえ確かなら他の人の事などどうでも良いでは有りませんか!!」
私はこの時正直彼女に圧倒されていた。
最早恋愛において悟りを開いているレベルの彼女のこの発言に、私はふと嘗てストリートの喧嘩で日本最強の喧嘩士と呼ばれている男と戦い、十メートル程打っ飛ばされた時の事を想い出した。
(ウムムム・・・まさかこの僕が女の子に圧倒される日がこようとは・・・)
だが、同時に私は彼女のこの発言に不安が雲のように晴れていくのを感じた。
「うん!そうだよね!喧嘩も、恋愛も、人生の勝負は自分が負けたと認めた時が本当の負けなんだ!逆に言えば諦めない限り負けじゃない!!」
開き直りに近い理屈だが、少なくともウジウジ悩んでいるなぞ私の性に合わない。
「その通りです恵理さん!フフフ・・・お元気に成られたようで良かったです」
「うん!ありがとう深雪!!」

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