PiPi's World 投稿小説

“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 42
 44
の最後へ

“リア充”始めました 44

俺がアスカに学校の屋上に呼び出されてから三日が経過し、その間悠木家には何所か空々しい空気が流れていた。
「・・・と!いう訳でさ!アハハハハハハハ!!!!」
「ふ〜ん・・・」
「ああそう・・・」
恵理の渾身のギャグも、虚しく不発に終わり、皆が集まって食べている夕食時の悠木家には、変わらず重苦しい空気が流れ続けている。
「ううう・・・」
『どうやら恵理さんも撃沈したようですわね』
『お兄様とアスカお姉様何か有ったのでしょうか?』
『私こういう雰囲気は苦手です・・・』
恵理とアスカを除く三人の婚約者たちは、二人に聞えないよう声を潜める。
『確かに信哉様とアスカさんの間に何かが有ったのは間違い無いと思いますが、幾ら聞いても信哉様もアスカさんも何も言っては下さいません・・・その内元に戻るのではと楽観しておりましたが、私段々心配に成ってきましたわ・・・ハア・・・』
そう言って深雪は心配そうな溜息を吐く。
基本的にライバル関係にあるハズの信哉の婚約者たちだったが、何か月も共同生活を続けていれば、お互いに情も連帯感も沸いて来る。
ましてやアスカは彼女たちの中でもムードメーカー的な存在だったので、ここ数日の悠木家は、彼女と信哉の気まずい空気が伝染して、暗い鬱状態に陥っていた。
「ご馳走様・・・」
「俺も・・・」
信哉とアスカはほぼ同時に食事を終え、リビングを後にする。
だが、二人は部屋を出て行く時も決して目を合わせようとはしなかった。
「「「「・・・ハア〜〜〜〜〜」」」」
部屋に残された少女たちは、その様子を見て溜息のクァルテット(四重奏)を奏でたのだった。


「え〜〜い!クソ!!」
俺は食事を終え自分の部屋に帰ると、イライラしながらベットに横に成った。
(皆心配してたな・・・とはいえ彼女たちも俺と結婚する為に俺の所に押し掛けて来た以上この話の相談をするのは筋違いだしな・・・アア、モウ!!いったい如何すれば良いんだ!!)
俺が悩んでいると、ドアの前に人の気配がした。

トントン

「失礼します信哉様」
ノックと同時に深雪さんが部屋に入って来る。
「ああもうお風呂のお湯沸いたの?」
「いいえ未だです」
「じゃあ・・」
「信哉様。差しでがましい事は重々存じておりますが、あえて言わせていただきます。アスカさんと何が有ったのですか?私だけでは無く、皆さんも心配しております」
俺は彼女の質問に苦笑して首を横に振る。
「深雪さん・・・前にも言ったけど・・・」
「信哉様。私はアスカさんの事を信哉様の愛情を争うライバルであると思う以前に、彼女を大切な友人と思っております。それは他の皆さんも同じです。ですから今質問しているのは、信哉様の婚約者である鳳凰院 深雪 (ほうおういん みゆき)ではなく元気の無い友人を心配して訪ねて来た桐生アスカの友人の鳳凰院 深雪 (ほうおういん みゆき)と思し召し下さい」
そう言って深雪さんは床に両手を付き、深々と頭を下げた。
「お願いです信哉様。私の友人であるアスカさんを元気付ける為に、彼女との間に何が有ったのか、どうぞお教え下さいませ」
「・・・・・フウ〜・・・分かったよ・・・」
こういう風に質問されたら答えるしかあるまい。
「実は三日前にアスカに学校の屋上に呼び出されて・・・」
俺は深雪さんに全ての事情を包み隠さず話した。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す