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KA・TA・KI・U・CHI!
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KA・TA・KI・U・CHI! 5

つまり、勧められないと言ったのは本心からだろう。

「だがね、警察の腐敗は本当だ・・・あんな無法者でも捕える事なんてできないんだ・・・」

安田の無念そうな言葉・・・
彼らも無力感を感じているのだろう。

だけど俊樹は逆に光が見えた気がした。
絶望しか見えない現状より、その方が未来が見えた気さえした。

「仇討法には時効は無い・・・手段も問われない・・・どうするかは君次第・・・ただ、僕達はやらずに忘れて暮らして欲しいんだけどね・・・」

安田も和泉も苦しいんだろう。
やるせない気持ちを抱えつつもどうにもできない。
そして、この少年が復讐の炎に身を投じる所もできれば見たくないのだろう。

だが、それ以外にどうする事もできないのも事実だった。


それから三ヶ月後…

ここは県庁…その一画にある“仇討課”である。
「はぁ〜、暇ですねぇ…課長ぉ…」
そう言いながら椅子の背もたれに身をもたせかけて伸びをする若い女性職員。
彼女は三上 美加(みかみ みか)20歳…今年入庁したばかりの新人県職員だ。
ちなみに眼鏡を掛けていて、けっこう可愛い。
「うん、そうだねぇ…でも僕達が暇だって事は、世の中が平和だって事だから良いじゃないか…」
もう定年間近といった白髪頭の温和そうな男が茶をすすりながら答える。
そこへ…

…カ…カッ…カツ…カツッ…カツンッ…カツンッ!…カツーンッ!…カツーンッ!…

固い床を勢い良く踏みしめる足音が近付いて来た…何かとてつもない力強い決意に満ちた足音が…
「…っ!」
課長と呼ばれた男はバッと足音の方に目をやる。
「…あの…すいません…仇討ちの申請はこちらですか…」
窓口の所に一人の少年が立っていた。
圧倒的な存在感をもって…。
特に大柄な訳でもないはずなのに、その表情から、全身から発する並々ならぬ決意が彼を大きく感じさせた。
「…あ…ああ…あ…あなた…か…かか…仇討ち…なさるんですかぁ…?」
三上はその圧倒的な気迫に気圧され、ガタガタと小刻みに震えながら少年に尋ねる。
そんな三上を少年はキッと睨み付け、バァンッ!!と勢い良く受付の台を叩いて言った。
「そうですよ…俺は…そのためにここに来たんだぁっ!!!!」
「ひいぃぃっ!!?ご…ごめんなさあぁい!!!」
彼女は腰を抜かして椅子から落ちて床に尻餅を付いた。
二人の間に課長がスッと立ちふさがり、先程までの呑気な調子とは打って代わって厳かな口調で少年に言う。
「…仇を…討つのですね…?」
「…そうだぁっ!!!!」
「ではこちらの書類の必要事項にご記入を…」
「既に記入済みの物を持参したぁっ!!!!」
少年は再びバァーンッ!!!と書類を台上に叩き付けた。
だが課長は穏やかな表情を崩さず、書類に目を通し言う。

「では、添付資料を提出してください・・・書類と資料を内閣仇討局に発送し精査致します・・・」

少年の怒りに全く動じず、穏やかな表情のまま彼が書類と共に叩き付けた資料に目を通す。

「この資料なら問題ないでしょう・・・約一週間後に仇討証明書が仇討局より発行されます」

穏やかな表情でそう言った課長は、少年に受領書を渡しながら言う。

「発行されれば仇にも通達されます・・・どうかお気をつけて成就を・・・」

穏やかな笑顔だが、課長の目は笑っていない。
その表情に、少年もハッとした表情で課長を見返し、静かに深々と礼をするとそこから出ていく。

「さて、三上くん終わったけど立てるかな?」

課長は座り込んだままの三上に優しく声をかけるが、彼女は腰を抜かしたままだった。


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