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KA・TA・KI・U・CHI!
官能リレー小説 - その他

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KA・TA・KI・U・CHI! 4

こうして彼の戦いは終わった…。
彼に出来る事はもう無い…。
あとは法の正義を信じ、その裁きに全てを託すだけだった…。

その後、俊樹は未だ霊安室に眠る結衣の元を訪れたいと医者に告げた。
「……見ない方が良いと思うけど…」
医者は気まずそうに言った。
「どうしてですか…?」
「つまり、その…まだ綺麗にしていないというか……損壊が酷すぎて……悪い事は言わない…今の状態では本当に見ない方が良いんだ…結衣さんのためにも…君のためにも…」
「…先生…」
俊樹は言った。
「…会わせてください…俺、結衣がどんな姿になってても、ちゃんと受け止めますから…いや、受け止めなきゃいけないんです…それが、あいつを助けてやれなかった俺の責任だと思うから…」
「…解った…後悔するなよ…」
俊樹の真剣な眼差しに医者も思う所があったのか、俊樹を安置室へと案内した。

医者は袋に包まれた結衣を指して言った。
「今の所してあるのは防腐処置だけだ…つまり袋の中の彼女は、亡くなった時の状態そのままという事だ……心してくれ…」
そう言うと彼は袋の上部に付いているチャックを開けた。
そこに結衣は居た…いや“結衣だった物”があった。
「…っ!!!?」
俊樹は言葉を失った。
これが…結衣…なのか…?
彼は別に現実を受け止められなかった訳ではない。
目の前の“それ”が、あまりにも結衣だった時の面影を留めていなかったもので、これが結衣だと言われても良く解らなかったのだ。
「犯人達は…」
“それ”の前で呆然としたまま固まっている俊樹に医者は静かに言った。
「…ヤツラは人間じゃない。人の形をした獣か何かだ…。でなければ、こんな残虐な事が出来る訳が無い…」
「…結衣…結衣ぃ……うわああああああぁぁぁぁぁぁ…っ!!!!」
俊樹はその場に崩れ落ち、泣き叫んだ。


それから数日が経った頃、また刑事の和泉と安田がやって来た。
だが、この日は二人とも何となく様子が変だった。
どことなく落ち着きが無いというか…。
気まずそうな表情をしている。
俊樹がその後の聴取の様子などを尋ねると…
返って来たのは…
…耳を疑うような答えだった。
「彼らは…全員容疑が晴れて釈放されたわ」
「……っ!!!?」
一瞬、俊樹は絶句した。
何とか搾り出すように言葉を紡ぎ出す。
「…ど…どういう事ですかぁ…っ!!?容疑が晴れたって…そんなの有り得ない!!!顔写真、見せてくれたじゃないですか!!?あいつらですよ!!!あいつらが結衣を……見間違えるハズ無い!!!はっきり覚えてます!!!」
「「……」」
必死に訴える俊樹…しかし二人の刑事は悲痛そうな顔をして黙ったまま…。
やがて和泉が口を開き、何かを話し始めた。
「俊樹君…聞いて…実はね…」
安田が慌てて止めに入る。
「和泉さん!!」
「…安田君、止めないで…私は、彼には真実を知る権利があると思う…」
「……解りました…」
安田は引き下がった。
和泉は俊樹に向き直り、改めて話し始める。
「…俊樹君…君の言う通り、確かに犯人はあの四人に間違い無いわ。監視カメラの映像、現場に残されていた足跡、そして決め手は結衣さんの体内に残されていた体液から採取されたDNA…あらゆる証拠から我々警察も彼らが犯人と断定したわ」
「だったらどうして…っ!!?」
「外圧が掛かったのよ…」
「外圧…っ!!?」
…なぜ!?
…一体どこから!?
俊樹の頭の中を様々な言葉が駆け巡る。
和泉は言った。
「…犯人グループのリーダー格の男…名を清木 光人(きよき みつひと)と言ってね…」
「清木…っ!?まさか清木って…あの清木一族の縁者…っ!?」
和泉は溜め息混じりに言った。
「縁者も縁者…彼は清木家の現当主、清木 善人(きよき よしひと)の息子よ…」
「そんな…っ!!!?」

清木家…それはこの地方に古くから続く名家であった。
かつてはこの地方一帯を治める領主だったとかで、現在でも市内各所に広大な土地と莫大な資産を保有しており、この現代においてもなお、この街の影の支配者として絶大な影響力を保持し続けている一族であった。

「じゃあ清木が警察に働き掛けて息子の罪を揉み消したっていうんですか…っ!!?」
「そうよ…」
「で…でも、いくら影響力のある一族だからって…警察がそんな不当な圧力に屈するなんて事…!!」
それに対して応えたのは安田だった。
「…残念だけど俊樹君…今の警察は君の予想以上に腐敗した組織なんだよ…」

そして和泉が間を置いてこう言った。

「犯罪被害者遺族による加害者への復讐等に関する法律・・・こう言うのがあるのを知ってるかしら?」

それは勿論俊樹も知っている、『仇討法』だ。

「勿論、私達からは勧められないし、リスクも伴うわ」

『犯罪被害者遺族による加害者への復讐等に関する法律』・・・

つまり仇討ちを公式に認めた法律だ。
その条件は、『被害者が死亡している事』、『犯人と断定できる証拠がある事』
それらを満たして『内閣仇討局』に申請書を出し、『仇討証明書』を得る事である。
これにより仇討ち対象者に対する全ての行為が正当と認められ、たとえ殺しても罪に問われる事は無い。
だが油断は禁物、対象者側も反撃する事が正当防衛として許されており、撃退時に実行者を殺しても罪に問われない。

さらに、和泉の言うリスクは『仇討証明書』を発行されれば相手にもそれが伝えられる事。
相手が有力者の場合、成功するのが難しく、反撃されて死ぬ場合が多い事・・・

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