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龍の一族
官能リレー小説 - その他

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龍の一族 10

「マ…マジの斬り合い…!!」
籠の中の和人は手出しが出来ない。
「わ…わしは応援を呼んで参る!それまで持ち堪えておれ!」
八代は上手い事を言って逃げようとした。
「ちょっ…!?待てよ!みんなが戦ってるのに大将が逃げるのかよ!」
だが…
「ギャアァァァッ!!!?」
八代はアッサリ山賊達に捕まり、馬から引きずり落とされて斬り殺されてしまった。
「…っ!!!」
初めて人が殺される所を目にした和人は思わず目を背ける。
八代だけではなかった。
「ぐあぁぁっ!!!」
「ぎゃあぁぁっ!!?」
数が少ない上に戦いに慣れていない兵士達も次々と斬り伏せられていく。
そしてとうとう残るは日向一人となってしまった。
「へへ…姉ちゃん、もう勝ち目は無いぜ。大人しく降参したらどうだ?」
「殺すには惜しい女だしなぁ…」
「そうそう、俺らが可愛がってやるからよぉ〜…」
下賎な笑みを浮かべて周りを取り囲む山賊達に日向(馬はやられたので既に下馬している)は既に数人を斬って血の滴り落ちる刀を向けて言った。
「だまれ下衆どもめ!武人に降伏の二文字は無い!ましてや貴様らのような賎しい賊共などに降ったりした日には、嫌というほど慰み物にされて最後には殺されるか、はたまた女郎屋に売り飛ばされるかだろうが!死んでも拒否する!」
「強情な姉ちゃんだなぁ」
「こうなると生け捕りは難しいし、やっぱり殺っちまうしかねえか」
「もったいねえなぁ、あのでっけえ乳…」
「俺ぁ死体でもイケるクチだぁ…ゲヘヘ」
一方、和人は何とか籠を壊そうと試みていた。
(意外と頑丈だなコレ…チクショウ!!このままじゃあの人が殺されちまう!…クソォッ!!何が天覇二刀流25代目だ!!目の前で人が殺されてるのに何も出来ないのかよ!?)
山賊の親玉は言った。
「ようし野郎共!殺っちまえぇーいっ!!」
「「「ヒャッハアァァーッ!!!!」」」
親玉の号令一下、一斉に日向に襲いかかる手下達。
「やめろおぉぉーっ!!!!」
和人は叫んだ。
その時…

「「「…っ!!?」」」

…その場の誰もが目を疑った。
和人の右手から突然強い光が発した…かと思った次の瞬間、その手には黒い柄に黒い鍔、そして黒い刃を持つ、何から何まで闇夜のような漆黒の、一振りの刀が握られていたのである。
和人はその刀に見覚えがあった。
「これは…秋水!?」
そう、その刀は当主の証として彼の家に代々受け継がれて来た二振りの刀…秋水と白夜の内の一本…秋水に他ならなかった。
「(どうしてこれがここに?…いや、今はそんな事どうでも良い!)…はあぁぁーっ!!!!」
和人はたちまちの内に竹で組まれた籠を切り裂いて脱出し、山賊達に斬りかかった。
「うわあぁぁっ!!!」
 ズバァ…ッ!!!
「ギャアァァァッ!!?」
最初の一人を斬った時、肉を切り裂く鈍い感触が刀を通じて手に伝わって来た。
「ウッ…(こ…これが人を斬った感触…気分が悪い…クソッ!でも今は迷ってる場合じゃない!戦うんだ!!)…うおぉぉぉーっ!!!」
和人は心の抵抗を振り切って山賊達を斬っていった。
「和人殿…助太刀、感謝する!」
日向も賊を次々と斬り伏せていく。
和人は倒した敵から奪った刀を手に取り構えた。
「天覇二刀流…必殺!旋風斬!!」
「…ギャアァァァッ!!?」
「…グアアァァァッ!!?」
「…ヒギャアァァッ!!?」
和人は敵の直中に斬り込み、二本の刀を翼にのようにして回転するが如く次々と敵を斬り伏せていった。
天覇“二刀流”というだけあって、その使い手は刀を二本持って初めて真の力を発揮する。
普通の流派が専ら一対一を想定しているのに対し、この天覇二刀流は一対多数の戦いも視野に入れた流派なのである。
「クソォッ!!野郎ども引き上げだぁ!」
分が悪いと悟った山賊達は森へと逃げて行った。
「待てぇ!」
「和人殿!深追いはするな!戦いはもう終わった!…それに森の中ではヤツらの方が有利だからな」
日向に言われ、和人は我に返った。
振り返ると敵と味方…多くの者達が息絶えて倒れていた。
その中には彼が手に掛けた者達も…。
ついさっきまで笑って話をしていた国府の兵士達も…。
「うぅ…」
和人は気分が悪くなり、その場に崩れ落ちて嘔吐してしまった。
「…和人殿!どうした!?しっかりしろ!」
日向は慌てて彼に駆け寄ったが、和人はそのまま意識を失った…。

 ※ ※ ※

和人は夢を見ていた…。

ーー龍の末裔よ…。

「またか…」

この世界へ来る直前に聞いた声…男なのか女なのか、若者なのか老人なのかも定かではない…。

「あんたは一体誰なんだ?なぜ俺をこの世界に連れて来た…?」

その声は答えた。

ーー汝をこの世界へ招いたのは我ではない。さらに大いなる意思の力…。我は汝と共にこの世界へ来た。我の片割れを探せ。この世界を救うために…。

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