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龍の一族
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龍の一族 19

それを理解した和人は、女の胸から短刀を引き抜いた。
柄まで深々と刺さっていたにもかかわらず、引き抜かれたそこには傷跡1つさえない。
当主を任じられるほどの腕前ともなれば、血の一滴も流さず、傷跡さえ残さないようにすることも可能なのだ。
こうして宿の女はまんまと和人に騙された。
死の恐怖から解放された女は、それから間もなく、まるで子供のように和人の胸で泣きに泣いた。
ごめんなさい、ごめんなさい。もうあんなこと、二度と言いません。
そう、何度も謝罪の言葉を繰り返しながら。
和人が胸の中で泣き続ける女を柔らかく背中を撫でてあげながら受け止めていると、がらりと襖が開かれた。
「あれ?叔母さん?お客様?どうして叔母さんが泣いて…」
「あ…福?」
女を叔母さんと呼んだのは、年頃の女の子だった。おそらくは和人と同い年くらいだろう。仲居さんらしい和装に身を包んでいるが、帯に乗り上げるように胸元は大きくせり出している。
(君は?)
和人が疑問を抱く暇は与えられなかった。
「ちょっと、叔母さん?どうしたの?彼に何かされたの?」
仲居さんらしい女の子が女の元へと駆け寄る。
裸になった女が、ずっと男の胸の中で泣いていたら何があったのかと思うだろう。
「あ、いや、これは…ちょっと、彼女に酷いことを言ってしまって…」
和人は刃を突き立てたとは言えず、咄嗟にごまかしてしまう。
仲居さんが鋭い刃のような感情を宿した眼を向けてきた。
「福、私なら大丈夫よ。下がりなさい!」
流した涙の跡をおもてに残したままの顔を上げて、女は仲居さんに強く言った。
「でも、この人は子種を…そんな叔母さんに酷いことをしたんでしょう?」
「違うの!私が失礼をしただけなのだから、貴女は下がりなさい!お客様、申し訳ありません。彼女にはちゃんと言い聞かせますから。」
裸の女が仲居さんを遮りながら両手を突いて頭を下げた。
「いや、俺は…むしろ俺が失礼をしたんだから、あなたたちが頭下げる必要ないですよ。ごめんなさいっ!」
平身低頭する裸の女と、怒る仲居さんの対処に慌てた和人は自分も平身低頭してしまう。
和人はどうしたらいいのか手段を見いだせないまま頭を下げ続ける。
どうしたら事態を収拾できるのかわからないまま頭を下げ続けるのは裸の女も同様だった。
普通なら客と問題になってしまった時は最終手段として肉棒に尽くすことで解決するのだが、問題が起きた原因が原因だけにその手を使いかねた。
「とにかく叔母さんもこんな奴に頭下げる必要ないよ!」
ますます仲居さんが激昂して、和人もさすがに苛立ってきた。
頭を下げたまま何も言わず精神集中する。
「ちょっと!何とか言いなさいよ!」
そのまま和人はじっとしている。
「あれ…?」
「だめ!もういいから下がりますよ!本当にこの子は…きつく言って聞かせますから、どうか!」
「叔母さんっ!」
和人が黙りこくって異様な気配を放ち始めたのを見た女は、さすがに危険なものを感じて仲居さんを無理やり連れだした。



(…ふう。なんとか帰ってくれたか…ちょっともったいなかったな…二人とも)
部屋に一人残された和人は精神集中を解き、頭を上げた。
異様な雰囲気を醸し出して危機感をあおり、これで危険を感じて退いてくれなければ猛烈な殺意めいた闘気をぶつけるつもりだったのだ。
和人としてはエッチな事ができる相手がいるのは嬉しいしさっきの二人もエロい体だったが、単なる種馬扱いされるのは屈辱だった。
(そういえば、桃花は元気だろうか?あれだけガンガンやりまくったからには妊娠していないかな?)
残してきた桃花のことが心配になった。妊娠させたなら責任を果たすつもりではあるが、離れ離れになった彼女の事を思い出すと心配であると同時に股間に力がみなぎってくる。

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