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龍の一族
官能リレー小説 - その他

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龍の一族 17

「ここはみなさんの宿泊されている宿の一室です。
 お客様が倒れられた後、私がずっと看病しておりました。
 他のお客様たちもあなた様を心配して看病するとおっしゃっておられたのですが・・・。
 お客様方はあやかしを討伐するために来られた、村の救世主。
 何かあってはいけないと、無理を言ってお休みになってもらいました」

そうだったのか・・・。事情を聴き、安堵と悔恨のため息をつく和人。
まったく天覇二刀流25代当主としてあるまじき失態だった。
女体に興奮しすぎて鼻血出して気絶したあげく、助けるはずの人に助けてもらうなんて。
ご先祖様が見たら、あまりの情けなさにボロボロと涙を流すことだろう。
それにはちょっとばかり嫉妬が混じっているかもしれないが(笑)。
とにかく彼女にお礼を言わなければ。そんな思いに駆られ、口を開こうとするより先に。
宿の従業員と思わしき女性がその口を開いた。
「お客様。山のあやかしを討伐しに来てくださったあなた様に、1つお願いがございます。
 どうか我々にお客様の子種を与えてはいただけませんでしょうか?」
「・・・は?」
「お客様の尊厳を踏みにじったこと、深くお詫びいたします。
 しかし我々も村を守るために手段を選べないほどに追い込まれているのです。
 もしお気に触ったというなら、これでどうぞ私を殺してくださいませ。
 ですが。どうか部屋の外に控えている娘たちにどうかお客様の子種をお与えになってやってください。
 我々はそれだけの覚悟をもってやってまいりました。
 どうか、どうかそれだけはご理解くださいますよう・・・!」
そう言って土下座する宿の従業員。彼女の言うとおり、ここで殺されてもいい覚悟で臨んでいるのだろう。
風呂場のラブコメ展開から一転してのシリアス展開に、和人は無言で差し出された短刀を手に取った。
よく切れそうな、鋭く短い刃。それを逆手に持つと、何を思ったか、和人がそれを振り上げ、女に振り下ろした!
あまりにストレートなお願いに、和人はそう答えるのが精いっぱいだった。
ほとんど初対面同然の女の人から、セックスしてくれと言われたのだ。
今日びマンガでもありえない展開に、和人は頭を抱えながら問いただした。

「えーあー・・・ちょっと待ってください?俺とおねーさんって初対面ですよね?
 少なくともこうして面と向かって話すのは、これが初めてだったと思うんですが」
「はい。左様でございます」
「じゃあ、なんでそんな見ず知らずの男にそんなとんでもないお願いするんです?
 もしかしてこの世界の貞操観念ってけっこー薄いんですかね?」
「いえ。女性が多いこの世界、一夫多妻が常識とは言え。
 見ず知らずの男の人を前に、簡単に股を開くような恥知らずではございません」
「・・・んじゃ、なんで子種くださいなんてトンデモ話になるんですかねぇ!?」

呆れと怒りの入り混じった声で、和人は半ば叫ぶように言い放つ。
だが宿の女は機嫌を悪くした和人を前にして、1歩も引くことなくその質問に答えた。

「すべてはこの村を存続させるためでございます。
 村にいた男はご存じのとおり、山のあやかしに1人残らず連れて行かれました。
 このままではこの村が滅ぶは必死。
 それを避けるためにはあなた様のような、強い男の子種をいただくよりほかにないのでございます」
「あーあー、なるほど。つまり俺を体のいい種馬として利用したいってわけね。
 アンタらは俺の子種を貰う。俺はアンタらの身体を好きにして気持ちよくなれる。
 まさにWIN―WINの関係ってわけだ。・・・ふざけんなよ」

次の瞬間、部屋の空気の温度が明らかに数度下がった。
いや実際には下がっていない。和人の放つ絶対零度の怒りが、部屋の温度が下がったように感じているのだ。

「アンタらの都合なんて関係ない。男漁りしたけりゃ国に頼むなり、身体売るなり好きにしろ。
 だがな。俺はアンタらの種馬になんぞなるつもりはない。あまり、俺を・・・ナメるなよ」
「・・・・・・・・・」

絶対零度の殺意を当てられ、宿の女は恐怖でガタガタと震えだす。
だが身体が恐怖に震えても、その目には絶対引くものかという強い意志が確認できる。
彼女は意を決して立ち上がると、自らの着物に手をかけ、一糸まとわぬ姿となる。
そして不測の事態に用意していたのであろう。1本の短刀を手に取ると無言で俺に差し出してこうべを垂れた。

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