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龍の一族
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龍の一族 14

「ミ…木乃伊(ミイラ)に…っ!?」
和人は震え上がる。
そんなのと戦わねばならぬとは…。
「そういうのを退治するのって国府の仕事なんじゃないかなぁ…な〜んか押し付けられた感があるんだけど…」
「そう言うな。あやかしの引き起こす問題を解決すれば罪を免じると国司様も約束してくださったではないか。あのお方はボンクラだが約束した事だけは破らんからな」
「うん、確かに亮はアホだけど裏表の無いサッパリしたヤツだったからな…信じて頑張ってみるしか無いか!」
「その意気だ、和人殿。…それとな、今回の任務には助っ人として同行する者達がいる。引き合わせよう。付いて来られよ」
「助っ人…?」

旅支度を終えた和人は日向の後に付いて別の部屋へと向かう。

そこに、その者達はいた。
「あ〜ら♪可愛い坊や…」
「何だ…そいつが話に聞いていた龍神の眷属なのか?まだガキじゃないか…」

一人は20代末〜30代初めと思しき妙齢の美しい女。
和装だが妙に露出の多い色っぽい服で、凹凸のハッキリした女性らしい体のラインが強調されていて全体的に艶めかしい。
胸は桃花以上、日向未満といった所か…いずれにせよ“爆乳”と呼ばれる域に達している事だけは間違いない。
背中に自身の身長ほどもある巨大な鉈(なた)のような幅広の刀を背負っている。

もう一人は見た目13、4歳くらいの少女。
こちらは逆に凹凸の少ないスレンダーな体型。
全体的に中性的な印象で、一見すると少年のようにも見えるが、膨らみ初めた胸で辛うじて少女と判る。
服装は地味で腰に短刀を差している。
他に武器らしき物は携帯していないが、何かの入った袋を反対側の腰に下げている。

日向は二人を和人に紹介した。
「彼女達は国府の役人ではない。傭兵だ。ちょっとした訳があって今回の件に力を貸してくれる事になった…」
「私は桔梗(ききょう)よ〜。よろしくね、坊や♪」
「オレは椿(つばき)だ…」
「俺は龍ヶ峰 和人と言います!よろしく、二人とも」

そして四人は国府を後にし、母方山へと向かった。
道中、和人はふと気になって桔梗と椿に尋ねた。
「二人はどうして俺達の仕事を手伝ってくれる事になったんだ?」
「うぅ〜ん…まぁ、色々あってねぇ〜」
微笑みながらはぐらかす桔梗。
言いたくない事なのだろうか。
あやかしに大切な仲間や家族を殺され、その仇討ちとか…?
和人が考えていると日向が言った。
「その者達も和人殿と似たような立場…つまり罪人という訳だ」
「えぇぇっ!!?あ…あなた達も!?」
「もう〜、言わないでよぉ。ま、バレちゃったら仕方無いわねぇ。私は盗賊団と手を結んで地方の村から国府へ移送される年貢米を略奪するのに手を貸したの…で、捕まって国府へ引き立てられたんだけど、国司の坊やが“母方山のあやかしを倒したら二度と水見国へ立ち入らない事を条件に無罪放免にしてやる”って言ってくれたのよねぇ〜♪この椿も同じよ」
そう言うと桔梗は自分より頭三つほど小さな椿の頭をポンポンと優しく叩いた。
「気安くオレに触るな…」
椿は眉をしかめてその手を払いのける。
「あらあらぁ…」
桔梗は相変わらず柔和な…しかし艶めかしさを含んだ微笑みを浮かべたまま。
和人は驚いていた。
「驚いたなぁ〜、まさか二人が盗賊だったなんて…」
「…盗賊じゃない…オレ達は傭兵…金払いが良ければ誰にだって付く…それだけだ…」
その喋り方、13〜4歳という年齢も相まって『なんか中二っぽいなぁ…』と和人は思ってしまい、思わず吹き出してしまった。
「…ブフッ!」
「…いや何で笑うんだよ!!?」

そんな風に和気あいあい(?)とした雰囲気の中、一行は北へ北へと進んで行き、夕刻には母方山の麓の村に辿り着いたのだった。
「…?」
村の中を見渡した和人は違和感に気付いた。
何かが変だと思って良く見てみると、大人の男の姿がまるで無い。
男といえば老人と子供だけ。
日向が言った。
「この村の男達は皆あやかしに連れ去られてしまったのだ。近隣の村々も同じような状況らしい」
「え?それじゃあ・・・」
「ああ・・・おそらくは、な」

あやかしとやらが村中の男をどうやって連れ去ったか知らないが、その末路は決まっている。
まだ全滅したとは決まっていないが、そうなるのも時間の問題だろう。
急いであやかしを退治しなければ。持ち前の正義感から和人はそう決意した。
とは言え、だがここはまだ目的地のふもと。しかももう日が沈みかけている。
疲れた体で夜の山であやかし退治など自殺行為も甚だしい。
和人たちはこの村で宿をとり、英気を養うことにした。
何でもここには小さいながらも温泉があるという。
この世界に来てから水浴びをしたことはあっても風呂に入れなかった和人は、意気揚々とその温泉へと向かった。
あやかし騒ぎで来る客などいるはずもなく。事実上、宿は和人たちの貸切状態である。
誰もいない露天風呂に来た和人は、身体の汚れもそこそこに落とすと。
さっそく湯船につかり、そのありがたみを満喫した。

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