侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 96
「瑞穂は、私のものです。」
表情は柔らかいが、その口調は有無を言わせぬ響きがあった。
「あの娘にマーズや私の全てを託さないと、私は狼鬼様の妻にはなれません。」
狼鬼を愛する静だが、彼女の意思は存外に強い。
だから狼鬼にも瑞穂を会わせなかったのかもしれないし、抱けとも言わないのだろう。
全く面白い女だ・・・
そう思う狼鬼の前で静は朱美を呼んで抱きしめる。
「朱美もそろそろ、男女の営みを覚えなくてはいけません。」
「男女の営み?・・・」
意味も解らず怪訝な表情の朱美に静は微笑みかけると、幼い年頃に不釣り合いな豊かな膨らみを揉む。
「ふぁ、お母様っ?!。」
揉まれて少し悶える表情は、幼いながらに女であった。
成る程、抱けと言うだけはあると狼鬼も感心する。
朱美と同じ年頃だった静も、幼さに不釣り合いな女の肉体だったが、理緒にしれ朱美にしろ、その頃の静より早熟であった。
何故かと言えば、虎太郎とか言う男が早熟にさせたのだろう、と狼鬼は感じた。
会った事も無いが、“それなり”に強く容姿も良いし、猛りも良いそうだ。
男日照りの家では“それなり”の男でも十分に女を早熟させる能力はあるものだ。
「どうですか?狼鬼様。朱美は早熟でしょ?」
静が朱美の胸を揉みながら狼鬼に訊いた。
「まぁな。俺としてはお前みたいに熟れた方が好きだが」
「嬉しい事を言ってくれますね。でも、早熟な物を貴方様の手で熟する事も出来るではありませんか?」
「まぁな。朱美。母上に揉まれてどうかな?」
狼鬼は朱美に訊いた。
「ひぁ!!な、何だか・・・前みたいに身体が可笑しいです!!はあん!!」
朱美は喘ぎながら狼鬼の質問に答えた。
「前?静、お前なにかしたのか?」
「・・・まぁ、前にその・・・・・・・・」
どうも歯切れの悪い返事をする静。
狼鬼は納得した。
それ以上は二人の事を思い、敢えて詮索しない事にした。
「あんまり幼い子に無理をさせるなよ」
「すいません。ですが、狼鬼様も興味はあるでしょ?」
「否定はしないがな」
狼鬼は肩を竦めた。
朱美は静に抱き締められて胸を揉まれながら、狼鬼に見られている事に対して歓喜と似たような気持ちになった。
『おじちゃんに見られている・・・・・・・・・』
狼鬼に見られている事で、なぜかもっと見られたいと思った。
虎太郎は兄的な意味で見ていたが、狼鬼は父親的な意味で見ている。