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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 87

皆で酒を飲んだり、飯を食べたりして話をする。

有り触れた事だが、それは尤も大切な事だ。

自由も大事だ。

しかし、家族も大事だと狼鬼は言った。

その言葉にはとても重い言葉に聞こえた。

宿へと着いた3人。

狼鬼は眠った朱美を起こさないように布団に寝かしつけた。

「可愛い子だ」

「狼鬼様は、子供が好きなんですね」

「子供は純粋だからね。大人のように汚れていない。だからかもしれない」

今まで散々なほど汚い所を見てきたから、子供が純粋な者だと狼鬼は語った。

「でも、狼鬼様も子供みたいですよ」

純粋で邪気のない笑みを浮かべて子供のようだ、と理緒は言った。

「はははっ。子供と言われたのは君が初めてだよ」

狼鬼は苦笑しながらも答えた。

その時、地震が鳴った。

「きゃあ!!」

理緒は狼鬼に抱き付いた。

「大丈夫。これは小さい地震だ。大丈夫だよ」

狼鬼は理緒を抱き締めながら落ち着くように言った。

狼鬼の言う通り、地震は小さく直ぐに治まった。

「す、すいません・・・・・・・」

理緒は赤くしながらも謝った。

「良いよ。昔から地震・雷・火事・親父と怖がられていたからね」

狼鬼の言葉が慰めのように聞こえた理緒。

しかし、自分を気遣っていると解かるから怒らなかった。

それから狼鬼は料理を頼んだ。

理緒は風呂に入ってくる、と言って赤い頬を見られないようにした。

















その頃、本国へと帰国した水月は正妻でもある鈴鹿から狼鬼の事を聞かれていた。

「そうですか。旦那様は新たに妻を娶るかもしれないのですね」

鈴鹿は上座に座りながら思案する顔を浮かべた。

御歳29歳で熟れた身体が着物越しからも解かり、生々しい。

「ですが、私たちを平等に愛する事に変わりはありません」

「えぇ。そうね。それは私も知っているわ」

狼鬼は極めて優しい夫だ。

どんな目に遭おうと自身と家族を護り愛してくれる男だ。

好色な主善とは違う。

あの男は、最初こそ身体を求めるが飽きれば別の女に目移りする好色の塊だ。

狼鬼の方は好色家ではない。

ただ彼を慕う女性が集まるだけだ。

それに対して真摯に向き合う狼鬼だからこそ、鈴鹿も好きなのだ。

自分の場合は、自ら身体を差し出して無理やり関係を持った気がある。

それを鈴鹿は気にしていた。

今回は狼鬼が自分から妻になってくれ、と頼んだらしい。

それを聞いて僅かに嫉妬の炎が燃え上がったのは女として妻として当たり前の事だ。

「まぁ、その女性が来るのはまだ先の話です」

今は自分の娘に子を宿らせる事に集中しているから、と水月は言った。

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