侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 86
「お母様の子、一刻も早く孕みたいです」
その為にも毎日、自分の中に種付けをしてくれ、と瑞穂は頼んだ。
「うふ。淫乱ね」
昨夜は自分を淫乱だと蔑んだくせにと静は言う。
それを聞いて瑞穂は顔を赤くさせた。
「あ、あれは・・・・・・・・・・」
「私が淫乱なら貴方もよ?瑞穂」
何せ私が産んだ娘なんだから。
静はもう一度、瑞穂の額に口付けを落とした。
「お母様は、淫乱な私は嫌いですか?」
「まさか。好きよ・・・瑞穂」
流石は私の娘だ、と静は言った。
その声には誇らしさが感じられた。
「貴方の言った通り・・・これから何度も貴方の腹に種を出して上げるわ」
最低でも3人は子が欲しい、と静は言った。
「では・・・3人分、出して下さいね」
「勿論よ。でも、今は・・・・・貴方を抱くだけで良いわ」
もっと貴方を味あわせて・・・・・・
静は熱の籠った眼差しを向けた。
「お母様・・・・・・」
瑞穂も熱い眼差しで静を見上げた。
静はそれを見て笑った。
互いに唇の距離が近くなる。
そして口付けを合わせた。
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「ふぅ。今日は大変な一日だったな」
眠る朱美を背中に背負い狼鬼は宿に帰っている。
あれから浅草を回り続けて夕方になっていた。
朱美は疲れて寝てしまった。
理緒が最初はおんぶしようとしたが、狼鬼が謝礼してやっている。
「でも、楽しかったです」
理緒は心から楽しかったと言った。
「そいつは何よりだ」
狼鬼は笑みを浮かべた。
水月は本国からの招集が掛り一度、戻っている。
そのため理緒と狼鬼、朱美の3人で宿まで歩いている。
「今日はどうするんだい?」
「母は、まだ帰って来ませんし・・・ご迷惑と思いますが泊めてもらえませんか?」
正直な話、静も居ない。
瑞穂も居ない。
そんな家で朱美と2人だけで夜を過ごすのは理緒にとって不安以外の何でも無かった。
「あぁ。いいよ」
狼鬼は俺も一人で寂しいんだ、と言った。
「狼鬼様もやはり寂しいんですか?」
天涯孤独と言った狼鬼だ。
一人は慣れていると理緒は思っていたが、違うようだ。
「まぁ、孤独には慣れているさ。ただ、やはり賑やかな方が好きだ」