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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 71

水月は頷いて、出掛けて来ますと断り北へと向かった。

「あの狼鬼様って何歳ですか?」

理緒は初めて会う人との雰囲気が気不味くならないように話題を出した。

「俺の年齢?さぁて、数えた事も無いからね」

「ご家族は居ないのですか?」

「生まれた時から天涯孤独でね」

知り合いも早死にして友人も居ないと答える狼鬼。

理緒は話題を間違えたと後悔した。

「そんな顔をしては駄目だよ。静に似て責任感が強い子だね」

狼鬼は笑いながら理緒の頭を撫でた。

「狼鬼様の手、大きいですね」

「君の父上よりかな?」

「はい。それに父は、甘えさせてくれない方でしたから」

理緒は生前の父親を思い浮かべた。

優しいが、厳格で甘え一つ許さない男だった。

静とは仲が悪い訳ではない。

ただ、どうも淡泊すぎるきらいがあったのは否定できない。

だから虎太郎を求めたのだと今になれば納得できる。

「まぁ、家庭が家庭だけにそうなるのも仕方無いけどね」

狼鬼は何処か理解できる口調で頷いた。

「君の家計は家康から続く譜代の旗本だったんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ。そこまでは知らなかった?」

「はい。ただ、元は旗本だと聞いておりました」

「それじゃ教えよう。1600年に家康が関ヶ原の戦で勝利して天下を握った」

君の先祖は敵陣に一番乗りした功績により名刀を授かったらしい。

しかし、火事で紛失した。

そこからケチが付き始めた。

家禄を食い潰す輩が多く、一時は小大名並みに贅沢できたのに少しずつ家禄を減らされた。

一時、建て直しも出来たが直ぐに逆戻りとなった。

そして貧乏御家人にまで落ちぶれた。

「そんな家系でしたか・・・・・・」

「あぁ。静の父親は先祖返りしたみたいに質素倹約をした」

だが、それも無駄骨となり静が後を継いだ頃には立て直しなど夢のまた夢となった。

「狼鬼様は、詳しいんですね」

その時代に居た時のように詳しいと理緒は思って感心した。

「まぁね。おや、もうこんな時間か」

狼鬼は夕日が沈み掛けているのを見て腰を上げた。

「家まで送ろう。確か、もう一人妹が居るんだよね?」

「はい。でも、お姉様が・・・・・・・・」

「大丈夫。静と一緒に居るはずさ」

狼鬼は確信とも言えるように言い切った。

その言葉に理緒は何故か信頼できると思い家に帰る事にした。

家まで帰る間、狼鬼は理緒を気遣い退屈しないように話をしてくれた。

理緒はそれが嬉しくて笑い続けた。

家に帰ると朱美が理緒を見て、走り出した。

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