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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 64

「あぁ。お前はどうだ?」

狼鬼は頷きながら静に訊いた。

静は答えた。

「そうか」

狼鬼は哀しそうに俯いた。

「狼鬼様が、そのような顔をしなくても・・・・・・・」

「いや。人が死ぬ所は何度も見てきた。それこそ親しい相手が死ぬ所なんて・・・涙が枯れる程にな」

狼鬼は寂そうに笑った。

「主は、相変わらず寂しがり屋だな」

マーズは苦笑しながら狼鬼を見た。

「マーズ。狼鬼様と知り合いなの?」

「あぁ。我が居た国で共に戦った。それでよく女を共に抱いたり抱かれたりもした」

マーズは懐かしむ表情を浮かべた。

「あぁ。戦が終わると、お前は封印されたんだよな?」

「あぁ。主はどうしたのだ?」

「用無しの兵は殺すか追い出す、だ」

「やれやれ。つくづくあの国は腐っていたな」

「まぁな。で、お前は静と契約をしたのか?」

「うむ。この女、かなり淫乱な気がある」

「そうなのか?」

「あぁ。今夜もそれだ」

「ほぉう。なぁ、静。お前、俺に抱かれたいか?」

狼鬼は蒼い瞳で静を見た。

「狼鬼様。ですが、貴方には妻が・・・・・・・」

「私は、狼鬼様が何人妻を持とうと気にしないわ。皆を平等に愛してくれるからね」

女はせっかくの邪魔をされて怒っていると思ったが、怒らないで淡々と述べていた。

流石はくの一と言ったところか。

「貴方も望めば、狼鬼様の妻になれるわよ?」

「でも、私には今の生活が・・・・・・・・」

「別に俺の世界に来いとは言わない。マーズが傍に居るなら、向こうの世界と繋がる世界に繋げる門を開ける」

「そうなの?マーズ」

「あぁ。主が望むならな。どうするのだ?」

「出来るなら開いて」

静は頼んだ。

憧れの男の妻になれる。

これほど嬉しい事は無い。

「分かった。しかし、この事は娘達には言わない方が良いな」

「そうだな。俺が妖しと聞けば、怖がるだろう」

狼鬼は哀しそうに笑った。

静が幼い頃に狼鬼は消えた。

正確に言えば、追い出されたと言った方が正しい。

江戸で疫病が流行して、一時的だが妖しが広めていると噂が立った。

狼鬼は疫病の治療薬を作り、江戸市民を助けていたのだがそれが逆に疑われた。

何より彼は常人より体格もよく動きも人間離れしていた。

奉行所に連行され江戸十里地方所払という軽い罪に処された。

そこからは会っていない。

だから、娘達に妖しと言えば怖がると潜在意識の中で思ったのだろう。

「私は、貴方が例え妖しであろうと嫌いません」

静は自分の気持ちを打ち明けた。

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