侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 45
『9月2日。私は荒野を抜け山へと入った。そして洞窟が滝の内側に在る事に気付いた』
そしてそこを住み家にした。
『9月3日。私は森を散策して人が居ないか探したが、見つからない。一人は寂しい』
何より身体の渇きを一人でやらなければならない、とも書かれていた。
『9月4日。私は森を拠点に東西南北を調べる事にした。先ずは西から調べる』
そこからは東西南北で調べた結果が書かれていた。
西側は山伝いで越えてもまだあるらしく切りが無いらしい。
東は湿気地帯が多い場所で、服などが直ぐに駄目になるらしい。
更に虫なども多く行くにはかなり厳しいらしい。
南は森林地帯と荒野が入り混じった土地らしいが、川がありそこを辿れば海に出れるかもしれないと書かれていた。
『9月5日。今日は出掛けないで住み家で過ごす。ずっと自慰に耽っているが・・・誰かを抱きたいと思う』
それこそ獣とでも良いと書かれていた。
『9月6日。獣を捕まえた。そして犯した。獣に私の種を植え付けたが、果たして子供が出来るかどうか疑問だ』
静は、その部分を飛ばして読んだ。
そこからはリアルに描かれた絵が載せられて直視できなかった。
『9月10日。今日から北側の探索を開始する。今日こそは誰かと出会える事を願う』
そこで日記は最初に読んだページなる。
かなり埃を被っていたから既に何年も前だろう。
そうなると、この日記を書いた者は・・・
「死んでいるわね」
きっと死んでいるに違いない。
静は日記を閉じ洞窟から出て衣服などを中に入れた。
焚き火の後がある場所に火を薪を拾って来て火を点けた。
温かい火で冷えた身体を温め始めた。
下着姿で静は保存食を食べた。
鎧は直ぐ傍に置いてある。
保存食は梅干しのような形をしているが、味は甘く菓子のようだ。
静は空腹を満たすと、うとうとと眠くなり始めた。
横になり眠る事にした。
火は点けたままだ。
しかし、洞窟内でも寒い事には変わりはない。
何か身体に被せられる物は無いか探すと外套が見つかった。
黒い外套で西洋ではマントと呼ばれる物だ。
それを肩に掛けて、横になった。
ひんやりと冷たい感覚があるも、焚き火とマントのお陰で幾分か温かい。
そして瞳を閉じて眠った。
静が目を覚ますと、そこは自分の部屋だった。
戻れた事に安堵しながら横で眠る朱美に口付けを落とした。
朱美が目覚めた後は、皆で食事をして静は鬼門堂に向かった。
店主に後を継ぐ事を言う為だ。
鬼門堂に行くと店主が出迎えてくれた。
直ぐに後を継ぐ事を伝えると店主は喜んで静を歓迎してくれた。
それから鬼門堂の中を案内された。
「貴方が後を継いでくれて嬉しいです。これで隠居が出来る」
「隠居先は何処にするんですか?」
「直ぐ近くの宿です。そこは古い友人が経営しておりまして、そこで過ごします」