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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 44

そろそろ服を着たいと思っていたから断りを入れた。

『そうした方が良い。もう直ぐ夜になる』

『それから・・・・・・・・』

マーズの声が途切れた。

「どうしたの?」

『迷惑と思うが出来るなら、また我に色々と外の世界を聞かせてくれ』

興味がある、とマーズは言った。

「良いわ。暫くは、この上に居るから」

静はマーズが旅人だと言ったから、きっと旅に出ると思い引きとめる事に躊躇いを見せたと解かった。

彼のその紳士的とも言える態度に敬意を表して暫くは居ると言った。

『ありがとう』

「いいのよ。じゃあ、また明日」

そう言って剣を銜えて水の中に潜った。

上へと戻り、静は濡れた身体を温かくしようと考えた。

だが、火打石などは無い。

どうするか考えていると滝の内側から鳥が出てきたのを見た。

気になって行ってみる事にした。

滝を越えて中に入ると、真っ暗で何も見えない。

既に夜になるから尚更だ。

どうにか明かりを点けられないかと思って、岩の壁を伝っていると、何かに当たった。

手触りで油が塗られた物だと解かり、剣で擦った。

その摩擦で火が点いた。

火が点いて明るくなると、目の前には木製の椅子や机などが置いてあった。

「誰か住んでいたのかしら?」

そうでなければ説明が付かない。

隅っこに書物が埃を被って置かれていた。

手に取り一番最後に書かれた所を読んでみた。

『10月15日。ここを出て更に北へと向かうと思う』

丁寧な字で書かれており静はページを捲った。

『ここを越えると荒野になる。来た時と同じだ』

どうやらこの先は荒野らしい。

『その為、行く時は砂煙などから身を護る外套などが必要だ』

それは体験済みだった。

更にページを捲る。

『10月16日。荒野から戻りこの森を調べて見た。獣なども居るが昼間はなりを顰めている』

そのため昼間に行動する事が良いらしい。

『森は食べ物が豊富で良い。保存食にも出来るから良かった。1年間も保存できる物まである。何かあれば、それを食べよう』

それは隅の木箱に収められている、と書かれていた。

木箱がある事に気付いて調べて見ると透明な長い瓶に収まった物があった。

梅干しのように丸く赤い果実だ。

『明日は更に荒野を越えてもっと北に行ってみよう』

そこで日記は終わっていた。

次は最初から読み直した。

『目が覚めたら、ここに来ていた。どう言う訳か分からない。嗚呼、神はなぜ私をこんな場所に連れて来たのだ?』

行き成りこの文字が出てきた。

つまり静と同じくこの日記を書いていた者も突然、ここに来たという事だろう。

『9月1日。私は一晩中、嘆き悲しんだ。しかし、何時までも泣いている訳にはいかない。どうせ天涯孤独の身。それならここで生きようと開き直った』

僅か1日でこうも開き直るとは驚きだ。

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