侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 29
火事が起きた時の溜め桶に足を掛けて、屋根に登った静はヒールの部分を外した。
男からはヒールの部分を外せば、音が出ないと教えられていたからだ。
ヒールの部分を外すと、まったく音が出ない。
そして黒いボンテージは闇夜に同化して静の姿を隠してくれる。
『まさしく忍装束ね」
静は男に感謝しながら家へと急いだ。
何とか家へと辿り着いた静は自室の前に音を立てずに降りた。
降りると、ボンテージ越しに秘所が妖しく見える。
周囲を警戒しながら自室に忍び込む静の姿は正しくくの一その者だ。
自室に入った静は直ぐに風呂敷から濡れた下着と着物を出した。
濡れた衣装を風呂場へと運び、静はボンテージを脱ぎ始めた。
紐を少し荒く解いて、急いで脱ぐ。
濡れているため寒い。
一糸も纏わない裸になった。
白い肌に塾れた身体があらわになる。
乳房から水が落ち蒸発し秘所は縮み上がっていた。
三人も産んだ身体とは思えない身体付きで、野犬が欲情するのも頷ける。
静は檜木で出来た風呂に肩まで浸かり、冷えた身体を温めた。
「・・・はー」
息を吐きながら野犬達に襲われた光景を思い出した。
いきり立った猛りは小柄ながらにして豪傑のように見えた。
きっと襲われたら牙と爪で着物を破かれていた事だろう。
そして猛りで貫かれていた事だろう。
犬に犯されるなど考えたくもなかったのだが、あの猛りを静は忘れずに、何時の間にか右手が秘所へと向かっていた。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
静は一瞬の隙を突かれ一匹の野犬に喉に跳び掛られた。
『駄目っ』
静は覚悟を決めた。
しかし、喉仏に牙が食い込む所で止められた。
野犬の唸り声が「降参しろ」と聞こえた。
犬に降参するなど屈辱以外の何でもないが、静は・・・・・・・
「・・・降参するわ」
懐剣を川に捨て敵意が無い事を示した。
それを見て野犬達は静の喉仏に食い付こうとしている野犬に視線を寄こした。
野犬は、静の首に前足を回して抱き付いて来た。
恐らく逃げないようにする為だろう。