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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 19

残された静は、どうするべきか思い悩んだが、明確な答えは出せなかった。

昨夜なら、この辺りで目を覚ますのに覚めない。

どうする事も出来ない静は汗ばんだ身体を洗おうと思い、風呂へ向かった。

一方、虎太郎は、寝ずの看病で目を覚ました女と話をしていた。

女の名は、鶴。

今年で29歳になる未亡人らしい。

何でも夫の仇を討つ為に四国から出て来たらしい。

「夫は闇討ちに遭い、果てました」

「闇討ちとは・・・武士の風上にも置けない奴らでござる」

虎太郎は自分の事のように怒った。

「夫は、良い人でした」

鶴は、悔し涙を見せながら喋った。

「それで、その敵の相手は?」

「北辰一刀流の使い手で、名を月影政義と言います」

『月影政義?はて、何処かで聞いた名前だな』

虎太郎は誰か思い出そうとした。

暫くして思い出した。

『北辰一刀流の使い手で、天狗と呼ばれた男だ』

一度も会った事はないが、その類い稀なる剣の腕で将軍家にも顔が効く剣客だ。

確か、今は旗本に収まっている筈だ。

「その敵の相手か知りませんが、人物を知っております」

「本当ですかっ」

鶴は身を前に押し出して来た。

「はい。その、相手の特徴は何かありますか?」

「確か・・・・・眉間に小さな刀傷がある筈です」

『眉間・・・確か、眉間ではなく、右頬に刀傷があったでござるな』

となると、別人なのか?

「その男は、何処に?」
「江戸で旗本に収まっております。ただ、敵の相手かは分かりません」

だから、軽はずみな行動は起こさない方が良いと虎太郎は言った。

間違って、違う相手を殺したら大問題だ。

「何より、先ずは身体を癒す事が先決でござるよ」

仮に敵と会っても、その身体では無理だ、と言い続けた。

「しかし、故郷に帰らなければ、お家再興が・・・」

「・・・そんなにお家再興が大切なのかね?」

先程まで黙っていた桜が薪をくべながら鶴に聞いた。

「農民である貴方には、理解できないだろうけど、侍にとって家を無くす事は重大なのよ」

桜は、冷たい視線を鶴に向けた。

「侍じゃなくても、家を無くすのは重要だよ」

「貴方達は、雨風を凌げれば良いでしょ?侍は、名誉があるのよ」

「名誉で生きていけるのかい?」

何より死んだ人間に何時までも固執している方が馬鹿を見る。

無責任とも言える言葉を桜は投げた。

険悪な雰囲気を出す二人。

『ま、不味いでござる・・・・・・』

こんな状況では、胃に穴が空いてしまう、と虎太郎は思い仲介に入った。

「・・・ま、まぁまぁ、二人とも。ここは、冷静になりましょう」

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