PiPi's World 投稿小説

侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 107
 109
の最後へ

侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 109

更に言ってしまえば名家の自分がそんな理由で離縁しようものならどんな誹謗中傷を言われる事か。

それが怖くてできなかった。

だが、身体は疼く。

何とか沈めようとしたが、出来ない。

男を買う勇気も無い。

だから、その噂を聞いた時は藁をも縋る気持ちで訪れた。

そこに静が居るなど知らなかったのだが、今では良かったと思う。

下手に見知らぬ者が居るより、知っている者が居る方が良かった。

『早く家に帰りたい』

こんな物を持っていると知られたくないのもあるが、試したい気持ちもある。

そんな事を思いながら静江は足を速めた。

道を曲がろうとした所で、チンピラに出会った。

「よぉ、お姉さん。こんな所でどうしたんだい?」

チンピラは如何にも好色そうな笑みを浮かべて静江を見た。

「べ、別に・・・何でもないです」

静江は平静を装い横を通ろうとした。

だが、腕を掴まれた。

「冷たいな。ちょっと俺と遊ぼうぜ?」

「は、放して下さいっ」

静江は腕を振り払おうとしたが、男の力に勝てなかった。

そして何処かに連れて行かれそうになった。

『助けて!!』

誰でも良いから助けて、と静江は願った。

そこへ別の声がした。

「おい。女は嫌がっているぞ」

声の方を見れば、壮年の男が立っていた。

黒髪に蒼い瞳の男の腰には太刀と刀が差してあった。

「お武家様。助けて下さいっ」

静江は侍の後ろに隠れた。

「誰だ?てめぇは」

「ただの通り縋りだ」

「だったら消えろ。俺は、そっちの姉さんに用があるんだ」

「悪いが断る。嫌がる女を連れて行こうとしている男に渡せるか」

「てめぇ・・・・・・・」

チンピラが匕首を取り出した。

「そんな刃物で俺は殺せないぜ?」

「うるせぇ!!」

チンピラが匕首で切りつけて来た。

それを男は素手で掴むと眼先から折った。

「な・・・・ぎゃあ!!」

チンピラは茫然としたが、顔面に蹴りを入れられて鼻血を出して倒れた。

「大丈夫かい?」

男が静江に訊ねた。

「は、はい。危ない所を助けて頂いてありがとうございます」

「いいや。ただ通り掛っただけだ」

「あの、是非ともお礼を・・・・・・・・」

「礼には及ばん」

「でも、それでは私の気が済まないのです」

静江は侍の手を掴むと、自分の家に来てくれと言った。

「そこまで言うなら・・・・・・・・・・」

男は困惑しながらも頷いた。

静江は侍の手を引きながら家へと急いだ。

これが静の想い人であり、自分と春菜の夫になる狼鬼とは静江はまだ知らない。





















「お母様・・・私、死にそうです・・・・・・」

「嬉しい事を言ってくれるわね。瑞穂」

瑞穂の言葉を聞いて静は笑みを深くした。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す