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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部
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侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 107

「先ほどの答えですけど、生活費を稼ぐ為なんです」

静はここでの話を生活費を稼ぐためと言った。

それを聞いて静江は納得した。

「この事は、誰にも話しません」

静江は静の心を読んだように言った。

静は、ここで働いている事を言わないでくれと言おうとした。

ここで働いていると知れれば、何を言われるか分からないからだ。

だが、静江は言わないと言った。

これなら問題ない。

そう思うと静は溜め息を吐かずにはいられなかった。

「あの、それで静さん。ここで、その、快楽を得られる物ってありますか?」

「え、えぇ。まぁ・・・・・・・・・」

静は静江の質問に曖昧に答えた。

「何か、お勧めの品はありますか?」

「まだ働いて間もないので・・・・・」

「そうですか・・・・・・・」

静江は明らかに落胆の声を出した。

「あの、ご主人と夜の営みが良くないのですか?」

静江はこう見えても結婚している。

子供は居ないが夫婦仲は悪くない筈だ。

「旦那様、夜の方は駄目なんです・・・・・・・・」

それ以前に女に興味が無いと言った。

「と言う事は・・・・・・・・・・・」

「男に興味があるんです」

自分は世間の眼を欺く為の存在らしい。

それを聞いて静は同情してしまった。

『この方も女として、幸せを掴めなかったのね』

そして思った。

『この方も、狼鬼様に抱かれたら幸せになれるのでは?』

まったく根拠が無かった。

いや、あるにはあった。

幼い頃に静江と似たような女性が居た。

しかし、狼鬼と出会ってからは幸せになった。

それを思い出して、静は狼鬼に会って抱かれたら幸せになれると思ったのだ。

ただ、この世界の住人でない静江が狼鬼に抱かれる事が果たしていい事なのか静には分からなかった。

静江は立場上、いくら身辺整理をしても静のように狼鬼についていけないのだ。

ふと、静は静江の一人娘の事を思い出す。

静江の娘の春菜と言う少女は、確か理緒と同い年の筈。

母に似て清楚で品のある大人びた少女だ。

理緒や朱美とも仲が良いし、瑞穂の事を姉のように慕っていてよく遊びに来ていたから知らぬ間柄でもない。

その春菜と静も良く話をしたが、彼女の口から出る話の大半は、母親の話であった。


その時の表情は、母親の静江に対する憧れ一色に染まっていた。

瑞穂とこんな関係になった今、静江母娘もそんな関係になるのも一つかもしれないと静は思ったのである。

静は店の中から黒光りする張り型を一つ取り出す。

双頭になっている張り型はそれぞれ形状が少し違い、二人用であるが一人でも二種類の快感が楽しめる仕様となっていた。

『少し癖の強い代物なんですがね・・・』

以前店主がそんな風に言ってた事を思い出す。


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