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南の島の大王は…
官能リレー小説 - その他

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南の島の大王は… 3

結果、失策を繰り返し、国内は混乱した。これに怒ったのがナナナ族以外の諸部族である。特にタタタ族などは「今こそナナナ族を権力の座から引きずり下ろす時だ!」と叫んで、各地で反政府活動を始めた。
だが今回のように武力に訴えて来たのは(先王が徳政によって国を平定して以降は)初めての事だ。

とにかく彼らは政権を奪取しようと王宮を始め首都の主要施設を襲った。その歴史的舞台に俺が居合わせてしまったのだ。しかも観客ではなく役者にされつつある。それも大役だ。

やがてジープは軍司令部と思しき建物に到着した。
「陛下!よくぞご無事で」
建物の中に入ると将官と思しき高級将校達がわらわらと現れて俺を取り囲んだ。
「よもやタタタ族の連中の手にかかってやしないかと心配いたしました」
「陛下がご無事とあらば国軍の士気も上がる事は間違いありません」
しかし、俺には彼らの言葉など全く耳に入っていなかった。
俺の視線は壁に掛けられた一枚の肖像画に釘付けだった。
「お…俺だ…」
そこには金モールの付いた軍の正装に身を包み、胸に勲章を大量に付けた俺の姿が描かれていた。
世界には自分にそっくりな人間が三人はいるという。
その男は正に俺に生き写しだった。
「陛下、どうなさいました?」
「え!?い…いや、その…」
俺はもう本当の事を言ってしまおうと思った。
だが、ルルー少佐が口を挟んだ。
「陛下、到着したばかりで誠に申し訳ございませんが、あちらにテレビカメラを用意いたしました。どうぞカメラの前に立って国民達に無事な姿をお見せください」
「あ…あの…俺…」
「陛下!迷われている暇はございません!一刻も早くこの争乱を収めるためにも!」
「は…はい!分かりましたよ!」
しょうがない。
もう少しだけ王様のフリを続ける必要がありそうだ。
これだけはやってやる事にした。

俺は軍服に着替えさせられ、原稿を渡されてカメラの前に立たされた。
「本番、5秒前!…3、2、1…キュー!」
「え!?も…もう写ってんのコレ?あ、ど…どうも、国民諸君。え〜と…本日未明、卑劣なる反乱軍は無謀にも、不当なる手段、しゅなわち…じゃない…すなわち、武力による政権の奪取を企み、しゅしょ…首都各所にて武装蜂起した…と。されど、我がちゅうじゅちゅ…忠実なるマダダダ…マダタスカル王国軍は…」
俺はガチガチに緊張し、棒読みで、噛みまくりで、しかも殆ど下を向いたまま、ただひたすらに原稿を読んだ。
何とか終えるとルルー少佐が心配そうな顔で言ってきた。
「陛下…その…何というか…本日はずいぶん調子がお悪いようで…いえ、このような非常時ですから当然の事とは思うのですが…とりあえずあちらのお部屋でごゆっくりお休みください」
「う…うん…」
俺は大役をやり遂げたのに落ち込み気味で別室に案内されたのだった。

「あ〜クソ!いきなりカメラの前に立たされて、しかもあんな小難しい古文調の文章読めるかよチクショ〜!バカ〜!」
一人になった俺は誰に対してでもなく悪態を吐いた。
しかし、良く考えてみれば俺がした事は大変な事だ。
俺の猿芝居のお陰で事態は収束に向かうだろう。
俺はこの国の英雄になれるんじゃないか…。
英雄になれば女の子にモテモテだ。
この国の人は肌が褐色気味である事を除けば、顔付きは日本人に似ていて、しかも女性は美女・美少女ばかりだ。
俺はいやしい妄想を抑える事が出来なかった。

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