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強制結婚制度 ‐オチコボレの挽歌‐
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強制結婚制度 ‐オチコボレの挽歌‐ 1

強制結婚制度がようやく国民全体に浸透して、普通恋愛による結婚はダサい、カッコ悪いなど価値観が遥かに変わった21世紀中頃…。
地方工業都市、A県T市に住む高校生の萩原慎太郎の元に役所から待ちに待った赤紙が届いた。
強制結婚システムによって選ばれた慎太郎の配偶者の記録、即ち未来の妻だ。
慎太郎の友人には既婚者が多く、中には既に一児、二児の親になっている者がおり、羨ましいことに複数の妻を得ている者もいた。
そんな中、独り者の慎太郎は肩身の狭い思いをしたものだった。
しかし、そんな惨めな状況にも今日でピリオドが打てる。
「へへへ…一体、どんな女なんだろう? 年上か年下か…知り合いだったりして…いや、一人じゃないかもな。」
はやる思いで封筒の口を切る。
中の書類に書かれていた内容は…

『不適格』      
…。
……。
………。
「はぁ?」
何だこれは?
どうゆう意味だ。
書類の裏にも表にも結婚相手の記録などない。
配偶者のハの字も無い。
詳しく読み返してみると…
『貴方は“無精子症”の為、相応しき相手がおりません』
と、書かれている。
「そんな馬鹿な!」
納得いかない俺は役所に問い合わせた。
すると、学校で行われた健康診断で俺は子供を作れない無精子症、つまり『種なし』だってことが分かったという。
子孫を残せない男に女をあてがう必要は無いんだそうだ。
電話を切って呆然とした。
「じゃあ、俺は一生涯独身なのかよ…いや、それよりどうして童貞捨てりゃあいいんだ?」
どうせその内、結婚するのだからと、内心、高を括っていたのが仇になった。

「畜生…日曜の夜は憂鬱なもんだが、こんなに落ち込むのは人生初だぜ…。」
慎太郎は不機嫌なまま眠りにつき、不機嫌なまま月曜の朝を迎えた。
朝食を済ませ、身支度を整えて家を出る。
家の前の通りで暫く待つと、隣の家から一人の女学生が出てきた。
慎太郎が通う高校の女子の制服に身を包んだ彼女は小山内香織。
アキバ系が聞いたら泣いて羨ましがるであろう『幼なじみ』の女の子だ。
名前の通り、幼い印象で身長は173センチの俺より頭一つ小さい。

そんな彼女を見ていると、いつもは元気があるのに、今日は元気がない。

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