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同級生
官能リレー小説 - 女性向け

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同級生 6

立ってるの疲れちゃったな―。
ゆきはその場にしゃがみこんだ。かばんを隣に置き、足を腕で包み込むようにし、ひざに顔をうずめる。

なんか…おかしい…。悠太もあたしも。前と全然違う。どうしてだろ……。

顔を埋めたままのゆきの耳には雨音は入っていなかった。ただ目を閉じた暗やみで思いをめぐらせていた。


「おい…」 「…………」
「おい、ゆき?具合悪いのか?」
「ん…悠太」
顔を上げると悠太が心配そうに覗き込んでいた。
「だいじょぶ、ちょっと考え事してたの。悠太、早かったね。走った?」
「ちょっと、な」
にっ、と両の頬を持ち上げて笑う悠太を見て、一瞬めまいを感じた。

なんだろ……、本当に具合悪いのかな。

「ホラ、傘」
「ぷっ!何これぇ!?」
差し出された傘は幼児が見るようなアニメのプリントがされた小さなかわいい傘だった。それを見たゆきは思わず吹き出してしまったのだ。
「わ、笑うなよ!家にマシな傘これしかなかったんだよ」
「でも、こんなの持ってるなんて……あははっ」
「いとこの女の子が置いてったんだよ」
悠太は恥ずかしいのか頭をぼりぼりと掻きながら答えた。

「ま、入れないことはないっしょ」
悠太の手から傘を奪い取って広げてみる。それはゆきがギリギリ入る大きさだった。
「ぴったり」
「かなり似合ってるぞ」
「そう?」
「うんうん、幼稚園生に見える」
「うっせバカ」
いつしか2人は、キス以前の2人に戻っていた。

「さ、じゃぁ帰るかな〜」ゆきはふと悠太の方を見た。
「あれ?悠太、背伸びた?」今まであまり目線が変わらなかったのに、少し見上げなくてはならなくなっていた。
「あぁ、ちょっとな。最近骨が軋むんだよ。ギシギシってな。まぁ、男だからなぁ。伸びてくれなきゃ困る!」
と悠太は笑いながら答えた。
そっか、悠太は男だからこれからもっと背高くなるんだ…。私なんかよりずっと…。
「なんか寂しいね」
「はぇ?」
悠太は変な声を出して固まっちゃった。
「だって悠太だけ大人になってく。あたしはまだ子供っぽいし」
「あぁ…なんだ。まぁゆきはもう少し成長したほうが良いな。特に胸とか」
「はぁ?何言ってるの///」
つか、あたし結構胸あるんですけど…。着痩せするタイプなの!!知らないくせにっ!
「だってお前ぺったんこだろ」
「スケベ、変態、セクハラ男、そーろー」
最後の言葉の意味は詳しく知らない。でも男の子にはダメージ大きいらしい(って美佳ちゃんが言ってた)
「おまっ!なんて事言うんだ///!」
「あんただって失礼なこと言ったじゃん!!」
「でも言っていい事と悪い事があるだろうよ!」
悠太…焦ってる……?何で焦る必要があるのよ。
「俺早くねぇし!!」
悠太は怒った時みたいに怖い顔で怒鳴った。
「はっ…?何が早いの?」
「え?何って…」
悠太は少し考えた後であたしに質問した。
「早漏って意味分かる?」
「分かんないっ!」

すると、あっという間に悠太の顔が真っ赤になった。
「ど、どうしたの?何、あたし変な事言った?」
そのまま悠太は傘の下に顔を隠した。あたしは上半身を折ってその顔を覗き込む。

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