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同級生
官能リレー小説 - 女性向け

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同級生 49

《しー…ん》
まさに、この表現がぴったりな雰囲気。
部屋に戻ったゆきが見たのは、何故か緊張で体を強ばらせている悠太の姿。
なんとなくゆきも喋ってはいけない様な気がして、アイスココアの入ったコップを手渡し黙って悠太より少し離れた場所へ座った。
「………」
「………」


「あ、あのさ……」
この雰囲気に耐えれなくなった悠太が先に口を開いた。
「な、なに?!」
ゆきはビクッと、過剰に反応してしまう。
「そんなに身構えるなよ。」
……そんな嫌か?
悠太はどうしてもマイナスに考えてしまうようだ。
「だ、だって……家、2人っきりなんだもん!緊張する…」
ゆきはそう言ってから自分の言葉の意味にハッとする。
やだぁ……これじゃ何かあるかとか期待してるみたいじゃない?!

ゆきの赤くなった顔を見て、悠太はゆきに近付いた。
そしてふ、とゆきの頬にごく軽く、手を触れる。
思わずびくっと大袈裟に反応してしまったゆき。突然の予期せぬ悠太の行動に今にも弾けてしまいそうなほど真っ赤な顔で、目を白黒させて考えた。
《わ〜!ゆっ…悠太…何か変っ!!何か喋んなきゃ!!!何…》
「なんか…御免な」
「へ?」
ゆきが口を開く前に、悠太が喋り始めた。今は頬に触れていた手を下ろし、俯いている。Mr.マイナス思考と化していた悠太は、彼女の過剰なまでの反応に大いに勘違いしてしまったのだ。完璧に嫌われた、と。
「ゆ…悠太?さっきからおかしいよ?どうし…」

そこまで言ってゆきはあることにはっとした。俯いた顔の両脇から覗く耳元が赤い。凄く赤い。
「悠…」
「ほんと、御免な。俺、優しいことの一つも言えなくて…昨日もあんな…酷い言い方して。」
少し頭上げて話す悠太の顔は、ゆきが見たことのないくらい真っ赤に染まっていた。恥ずかしかったりドキドキしたりするときの赤い顔ではない泣きそうなのを必死に堪えているときの、其れである。何時の間にかきちんと正座をして頭を下げている彼の姿が愛おしくて、ゆきは悠太の顔に手を添えて自分の目線の位置へ方へくい、と上げた。
いっぱいいっぱいな顔にきゅんとなった。
此処に居るのは、もうあの口の悪いクラスメイトじゃない。自分の彼氏なんだ。とゆきは改めて実感した。
「もう、いいよ…そんな謝んないでよ。らしくないなぁ!」
手を優しく添えたまま、ニコッと笑って明るく言うゆき。
「それにさ、あたしも悪いんだし。ちゃんと悠太に言えば良かったのに、美佳に聞いたこと話すの…恥ずかしくて」
思い出したように再び顔をぼっと赤くして悠太からぱっと離れるゆき。
「あ〜。またなんか吹き込まれたのか?」
仲直り出来そうな雰囲気に安心した悠太が意地悪く笑い乍言った。
「そーゆー訳じゃな…」

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