同級生 25
――――
――
――ガチャ
「ただいまー。ゆき?ちゃんとご飯食べた?」
「あ!お母さん!おかえりなさい。」
「あら?元気出たみたいね。何か良いことでもあったの?」
「えー?何もないよ〜!」
ゆきの母が帰宅し、2人はしばらく他愛ないおしゃべりをしながらリビングでくつろいでいた。
―――ピンポーン
「あら?誰かしら。ちょっとゆき見てきてくれる?」
「ぅん!分かった!――――はい?どちら様ですか?」
「あ…筒井ですけど。」
「ん?悠太!?どうしたの?ちょっと待って!」
――ガチャ
「――どうしたの?なんか忘れ物?」
「学校戻ったらさ、先公がキレてて、このプリントゆきに持っていけって言われたから、Uターンしてきた。」「あ、そうなんだ。プリントありがと!」
「ゆきー?どちら様?」
「あ!クラスメイトの筒井君ー!プリント届けてくれたの!!」
…ちぇっ、クラスメイトかよ!!彼氏って紹介してくれてもいいじゃん!!
そんな悠太の様子に気が付いたゆきは、
「あ…。ごめん悠太。そのうちちゃんと紹介するから…、スネないで?」
!!!!でたぁ!!ゆきの上目使い光線!!こんな目されたら何も言えねーよ。
「…絶対だぞ!」
その時、リビングからゆきの母が出てきた。
「まぁ。筒井君、ありがとねぇ。わざわざ。」
「あ、いえ…。あ!ぼ…僕、筒井悠太っていいます。」
悠太はちょっと慌てた様子でお辞儀した。
…悠太が《僕》だって!慌てちゃって…なんか面白い!!
するとゆきの母が
「こんなところで立ち話もなんだから、中でお茶でもしましょ!ね、さぁさぁ筒井君あがって?」
と半ば強引に悠太を家にあげてしまおうとしている。
「…え!あ、でもー。」
と、ゆきのほうをちらっとみた。
「まぁ、いいじゃない♪」
ゆきは悠太の慌てぶりを楽しんでいた。
「筒井くん、丁度この間頂いたケーキがあるの!いかが?」
「は…、お、おかまいまく!!」
と、悠太。
うわ…声裏返っちった。悠太はチラッとゆきの方に視線をやると、ゆきは笑いを堪えている様子であった。
ちくしょ──ゆきの奴、楽しんでやがるな。
ゆきの母親はケーキと紅茶を3人分持ってくる。
そして、3人で仲良くティータイムが開始するのであった…。
…
…悠太がケーキを完食、ゆきが半分ほど食べた頃…
「悠太食べるのはやぁい。」
「ん…そ、そうか?」
「もっと味わって食べなよ〜」
そう…悠太は緊張のあまり…飲食に逃げていた…
…そんな中二人のやりとりを見て何かを察したように微笑んでいる人物が約一名…
「悠太君、もう遅いから夕食一緒に食べませんか?お家の方には連絡入れておきますから…ね?…うん…きまりっ。そうしましょっ。」
目を輝かせ微笑みながら爆走するゆきの母…
「「え゛っ!!」」
声をそろえて固まる二人…
さーて…忙しくなるわぁ
…そういってゆきの母はどこかへいってしまった