同級生 17
「ちょっと!ゆきったら!どうしたの?さっきから…!」
そう美佳に突っ込まれ、ゆきは、はっとして顔が再び真っ赤になった。
言わなきゃダメだよね…美佳ならきっと応援してくれると思うし…
「あのさ、実は私、悠太とつ…付き合ってるの!!!」
「へ〜やっとくっついたんだぁ。」
「え!?」
美佳の返事にゆきは驚いた。
「な〜んだ。気付いてないとでも思った?ゆきが悠太君の事好きなのくらい分かってたよ★それに悠太君もゆきの事意識しまくりだったしね★」
そう言って美佳はウインクした。
そうだったのかぁ。さすが美佳!私なんか自分の気持ちでさえ気付かなかったのに…。
「じゃぁ、頑張って悠太君応援しなきゃだね★」
「ぅん★悠太、頑張れ〜!!!!!」
グラウンドにゆきの大きな声援が響く。もちろんそれは悠太にも確かに聞こえていた。
「……。あいつ…。」
悠太にとってゆきの声援は何より勝るパワーであった。
…なんか力が沸いてきたかも…。俺ってホントゲンキンだな〜。よし!絶対勝ってやる!
――――ゴーール!!!
それは一瞬の出来事。相手チームのエースのヘディングが見事に決まったのだった。
「…くそ!!」
サッカーではその一点が命取りである。悠太のチームは焦りを隠せずにいた。
やべ──…。ゆきに良いトコ見せんのに…。
悠太は今回のサッカー試合の中に私情を入れてしまっていたのだ。また、焦れば焦る程プレーは上手く行かない。
悠太だけでなく1点取れたコトからか、チーム全体に焦りとぎこちなさを感じさせる。
ゆきの願いと裏腹に悠太は相手チームとの接触は続くのであった。
そして遂に…。
「いってぇぇぇぇ!!!!」
悠太の頭から血が出ている。
「キャッ…悠太!!」
悠太はタンカーで保険室に運ばれていった。ゆきと美佳は急いで後を追った。
――――保険室
「出血の割りにたいしたことないな。縫わなくても大丈夫だろ。」
「ホッ。よかった〜。」
「センセ。じゃぁ俺、試合まだ出れる?」
「バカ言うな。今日はもうダメだよ。また怪我でもしたら、今度は病院行きだからね。」「…。そぅだよ!悠太無理しちゃダメだよ。」
「でも!!俺やっとレギュラーになれたんだよ!!それに今日はどうしても点を入れなきゃいけないんだ!!!」
…ゆきは何も言えなかった。
しかし、保険医は許可をおろさなかった。
試合はというと。1‐0で相手チームの勝ち。悠太も抜け、益々チームは焦り、結局、敵の攻撃を防ぐので精一杯だったのだ。
―――帰り道。
「…………。」
「…………。」
「悠太。元気だしなよ!また試合出れるよ!!それに今日の悠太結構カッコ良かったよ!」
ゆきは精一杯明るく慰めた。
「…………。」