PiPi's World 投稿小説

同級生
官能リレー小説 - 女性向け

の最初へ
 14
 16
の最後へ

同級生 16

だが、現実はそんなに甘くない。やっとレギュラーになれた悠太にとって得点を入れることは容易ではない。その事を明日悠太は身を持って知るのであった。


―――朝

グラウンドには選手達が整列していた。そして彼らを取り囲むように観客がいた。そこにはゆきもいた。
「…悠太頑張れ…!」
胸の前で手を合わせ、祈っているゆき。
笛がなって試合が開始した。
ボールが投げられると観客席(フェンスの向こう側)には歓声が、ゆきには緊張が走る。
サッカーなんてよくルール分からないケド、こんな広いとこ走りまわるんだ…。少し遠い悠太にゆきは視線を向ける。
その時、ポンと肩をたたかれた。
後ろを振りかえると…そこにはクラスメートの美佳がいた。
「ゆき?何やってんの?」
うわっ。早速、知り合いに会っちゃった……。
「サッカーの応援?ゆきが珍しいねぇ。」
美佳は続けて話をする。
「美佳…、聞いて。私…」
──悠太とつき合い始めたの。
仲良しの美佳にも言えないよう…。ゆきの顔は耳まで真っ赤である。
その時、ピピッと笛がなった。
ゆきと美佳がグラウンドを見ると、悠太と相手チームの選手が重なり倒れていたのだ。
「悠太!!!!」
ゆきは立ち上がった。タンカーが運ばれてくる。ゆきはギュッっと手を合わせた。手に汗がにじむのがわかった。
タンカーが運び出された。
(…お願い神様!!!)
乗っているのは黄色いユニフォーム……。

……止まっていたゆきの呼吸が再び始まり、安堵の息をもたらした。
(…よかったぁ…。悠太じゃない…。)
悠太はというと…、かすり傷程度でピンピンしていた。
サッカーに詳しくないゆきには解っていなかったが、悠太のポジションはボランチ(守備的中盤)・・・・・・攻守の基点になるこのポジションはかなり接触プレーが多い。
確かに技術的には稚拙である悠太なのだが、頑丈な身体と無尽蔵のスタミナがウリで、このポジションは適職と言えた。

何度かの接触プレーにもめげず、持ち前の闘争心で走る悠太。
悠太が相手の攻撃を止めれば、そこから味方の攻撃に繋がる。味方の攻撃機会が増えれば得意のミドルシュートだって撃てるチャンスだってできるのだ。
「やっぱ、近藤先輩とか清水先輩ってカッコ良いよねぇー・・・・・・んっ?、ゆきってば、聞いてる!?・・・・・・」
チームのエースと司令塔の華麗なプレーに目をキラキラさせながら言う美佳の言葉もゆきの耳には入っていない。
兎に角走り回り、ボールに食らい付いていく悠太・・・・・・その度に相手と接触し、倒し倒されユニフォームだけでなく顔までも泥だらけにしていく。
決してカッコ良くなく泥臭いプレーだが、悠太の必死な姿にゆきは釘付けになっていたのだ。

SNSでこの小説を紹介

女性向けの他のリレー小説

こちらから小説を探す