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♂と♀のラブゲーム
官能リレー小説 - 女性向け

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♂と♀のラブゲーム 5

真近に写り込んだ画面を、舞は息を詰めて見詰めた。
成人男性を主張するがのごとく、ふさふさとした茂みを讃えている割りには
そこが随分と幼いということは、年下の舞が見ても分かった。

容姿に優れ、似合った金髪を風に靡かせるその姿を、うっとりと眺める女子は多い。
男子とて、治の性格を考えなかったとしたならば、
その伸びた脚、小さな端正な顔立、細身の割りには筋肉を薄くつけた美しい身体に、
羨望の眼差しを向ける者も少なくはなかった。

そんな、完璧な容姿を持った治のモノが・・・

これを見る限りでは、治が舞に豪語した、
(「俺がシャブってくれって言えば、野郎だって応じてくれるさ」)と言った言葉は信じられず、
治の単なる、男としての見栄に過ぎなかったのだろうと思えた。
舞は頬だけで微笑むと、その場からそっと立ち去った。


案の定、放課後になると理事長室に舞は呼び出された。
昼休みの一件を知った、葵や由美は今にも泣き出しそうな顔で、舞を気づかってくれた。

友達の心配を余所に、舞は動ずることはなかった。
理事長の孫であろうと何であろうと、自分は間違ってはいないと思えた。
そして切り札があることが、舞を勇気つけていた。

校舎最上階のフロアに、理事長室はあった。
そこに訪れる者は、例え教師であろうと数少なく、
増して生徒がここに立ち入ることなど滅多に無く、唯一、自由に出入りを許されているのは治だけだと聞いていた。

舞はさすがに緊張しながらも、続く長い廊下を歩んでいた。
いかにも贅を尽くした、毛脚の長いカーペーットが足に優しく、
左右に等間隔に置かれた調度品が、西洋の古城に来たようでもあった。

コツッコツッ・・・厚い木板をノックする。

「お入りなさい・・」
低く、掠れた声がドア外まで響いた。

恐る恐る舞はその重いドアを開いた。

「よくいらっしゃいました。佐倉舞さん・・」

舞は眼を見開いた。
男だとばかり思っていた理事長は、女だった。
しかも、治のお祖母さんというので、もっと高齢の人物を想像していたのだ。

理事長は細身のスーツをエレガントに着こなし、女の舞ですら見とれる程の、美しい大人の女だった。

「治のおばあちゃんだから、もっとヨボヨボだと思っていらした?」

「え?・・いえ・・・そんな・・」

「いいのいいの、気にすること無いは、18で子供を産んで、その子がまた16で治を身籠ったのよ。
それでも、もう51になるは・・貴女にとってはもうおばあちゃんかしら?」
理事長は舞に向かい、仄んのりと柔らかい笑みを浮かべた。


「そ、そんなことありません。理事長さんは私の母よりもずっと若々しいです。」
舞は緊張で声を震わせつつも、本心を言った。

「あら、お世辞でも嬉しいはね・・。ところで佐倉舞さん・・・」

(来た!)
舞はこれから入るであろう本題に、身を硬くした。

「貴女と生徒会長である天草治との昼間の一件は報告受けているは・・」

(やっぱり・・)

「は、はい・・申し訳ありません!」
舞は深々と頭を垂れた。

「あら?誤る必要ないんじゃなくて?
そりゃあ、軽々しく手を出したのは誉められたものではないけど・・」

「は?・・・それじゃあ退学じゃ・・」

「やだは、そんなこと心配していたの?あんなことで退学にでもしていたら、天草学園の生徒はいなくなっちゃうじゃない。」

「よかった・・・」
舞は安心のあまり、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。

「まあ、まあ、大袈裟だこと。」
理事長はティーカップにコポコポと紅茶を注ぎ入れながら、ゆっくりとそれを差し出した。
「そんな所に座っていないで、こちらにどうぞ。」

「は、はい。いただきます。それなら、理事長の私へのお話って、何ですか?」
舞はゆったりとしたソファーに身を沈めながら、理事長を顧みた。

「これは理事長としてでは無く、治の祖母として佐倉舞さんにお願いがあるの」
理事長は組んだ足を解き、両膝をきちんとつけた。

「私にできることなら何でもしますが・・」
人に頼まれると嫌とは言えない舞である。
それはずっと年上の理事長に対しても同じだった。

「あの子に人としての痛み・・そして愛情を教えってやって欲しいのよ。」

「え・・・?」

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