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♂と♀のラブゲーム
官能リレー小説 - 女性向け

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♂と♀のラブゲーム 1

「…という訳で新入生の皆さんは、本日より栄えある我が校の生徒たる自覚を持って、これから三年間の学校生活を有意義な物に…」
もう30分近くも続く学園長の祝辞に新入生達は辟易していた。
「ふぁ〜あ…」
今まさに大口を開けてアクビしている少女、佐倉 舞(さくら・まい)もその一人である。
「ま…舞…先生こっち見てるよ…?」
隣の席に座った妹尾 由美(せのお・ゆみ)が肘で脇腹をつついた。
「だってぇ〜…つまんないんだもん…ふあ〜…」
彼女達は同じ中学出身で、今日からここ、天草学園高等学校の生徒である。一応この地域では名門と言われる私立校だ。
「ええ…それでは続きまして生徒会から新入生の皆さんへのご挨拶です。天草 治(あまくさ・おさむ)会長、どうぞ」
ようやく学園長の話が終わり、司会が次の人物の紹介をした。
その人物が壇上に上がると新入生…特に女子生徒の間からざわめきが起こった。
「あの生徒会長、金髪じゃん…!」
「ピアスもしてるし…」
「でもちょっとカッコいいかも…」
彼…天草 治はおよそ生徒会長らしくない容姿をしていた。
「ふ〜ん…噂は本当だったみたいね」
「噂って何?」
治を見て一人納得する由美に舞は尋ねた。
「あの天草って会長、この天草学園の理事の孫で先生方も逆らえなくて好き放題にしてるって噂なのよ…」
「ふ〜ん…」
「でもなかなかイケメンよね〜♪私、生徒会に入っちゃおうかなぁ…」
「そうかなぁ…大した事ないと思うけど?」
「も〜、舞ったら本当に男を見る目が無いんだよねぇ…」
「そ…そんな事ないよ。だいたい理事だか何だか知らないけど、金髪の生徒会長なんてふざけてるよ」
「そこが良いんじゃん…!」
由美は力強く言いきった。

そんな調子で入学して、あっという間に一週間が過ぎた。由美と同じように考える女子は多いようで、治は学園内の女子に結構な人気があった。
その一方で悪い噂もあった。治は言い寄って来る女子に片っ端から手を付けては捨て、泣かせた女は数知れないというのである。
だが治の“ファン”の女子はそんな事気にもしないし、むしろ「弄ばれても良いから付き合いたい!」という女子も少なくなかった。由美もその一人だったが、舞にはその感覚は全く理解出来なかった。

「ねえねえ、もう部活どこに入るか決めた?」
ある日の放課後、同じクラスの一橋 葵(ひとつばし・あおい)が舞に話しかけてきた。
「ううん、まだ」
「今日、弓道部で見学会やるんだって。見に行ってみない?」
「本当?行く行く」
弓道場へは体育館を横切っていかなければならない。舞と葵が体育館裏にさしかかった時の事だった。
「あれ?あそこに居るの…」
「は…?」
葵が何か見付けて指差した。
「あっ!生徒会長と…由美!?」
体育館裏は草木が生い茂っていて、ちょっとした死角になっている。そこに治と由美がいた。二人は何か話しているようだ。
「一体どういう事なの?」
「由美のやつ、まさか会長と…?」
舞と葵はそっと二人に忍び寄った。
「う〜ん…何て話してんのかなぁ?」
「ま…舞!あんま近寄ったらバレちゃうって…!!」
気付かれずに近寄るには限度があり、会話の内容までは聞きとれなかった。
だが二人の表情から、かなり真剣な内容であると思われる。
すると突然、由美はポロポロと涙を流して泣き出したかと思うと、治に背を向けて走り去ってしまった。
「あ…あいつ…!!」
それを見ていた舞は治の前に飛び出そうとした。それを慌てて押し留める葵。
「ま…まってよ舞!何する気!?」
「離して葵!何の話か知らないけど、女の子を泣かせるなんて最低だよ!私が由美に変わってイッパツぶん殴ってやる!!」
「お…落ち着いて〜!!」
ところが、そんなやり取りをしている内に治の方が二人に気付いた。
「何してんの…お前ら?」

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