PiPi's World 投稿小説

弱小事務所の憂鬱!?
官能リレー小説 - アイドル/芸能人

の最初へ
 6
 8
の最後へ

弱小事務所の憂鬱!? 8

―あの撮影からおよそ1週間ほど、僕がやって来たのは都内のとあるスタジオ。

ここで、未来がメインキャラの一人として出演する作品のアフレコが行われている。
仕事が空いた時間に、彼女を労いに来たのだ。

「あっ、社長さん!」
ちょうど休憩時間だったのか、未来はブースの外にいた。
「お疲れ様。頑張ってる?」
「はい!わざわざありがとうございます」

僕らの横を、一人の女性が通っていく。
「あれは…」
「早瀬さん…今回初めて共演することができて…楽しみだったんです」

早瀬サヤカ。
今の人気声優の代表格で、アーティストとしても大晦日の国民的歌番組に何度も出場している存在。

…実は、サヤカは愛美と同い年、デビュー時期も近く、当時からライバル関係にあったのだ。

サヤカの担当プロデューサーは業界内でもかなりのやり手として有名で、彼女が今の地位にあるのもそのプロデューサーの存在あってこそなのである。

当時新人で、その頃から愛美のマネージャーだった僕は、サヤカの陰に隠れがちだった愛美の苦い顔を見続けてきた。

所謂事務所の『ごり押し』があったようなものだ。
愛美の演じたキャラがメインヒロインのはずだった作品が、いつの間にかサヤカの演じたキャラに役を食われていたことだってあった。
(もっとも、その作品に関してはネット上で『原作レイプ』だと散々叩かれたが)

そのようなことが重なって以降、愛美はサヤカを露骨に避けるようになったのだ。

こんな事が数年続いていましたがその間は愛美は次々とエロゲ主役を務め上げていて、何れもセールス的に好調。この作品『ランディングガールス』もその一つ……前にも申し上げましたがエロゲの方が報酬がよく愛美の場合、一人でアテレコした方が都合がよいので。アニメは全年齢対応ですので当初はサヤカが主役になる筈でしたが……。

「あの監督って私のデビュー作の時にも原作レイプしていたから度々放火(=ブロフを“炎上”される事)されているから……主役を私にさせたかったのかなぁ?」

その監督さんは今やブロフやツィッターを開設する事は無くなり、専門誌のインタビュー記事のみしか情報を発信しなくなりましたし、共演者やスタッフらも彼に関しての話題をネットに上げません。その監督は絵コンテで悩んでいるらしく録音スタジオの操作室で鉛筆を上下に揺らしてました。

「おおぅ。若社長、陣中見舞いか?」
「おはようございます、どうですか?」
「やはり彼女の声で無いとな……愛ちゃんの主演作だが彼女なら問題は無いだろう」
監督はため息をつく。

「まあ、今回は全年齢対応ですからね」
「そうだね…あまり彼女を刺激しないようやってるよ」
監督はそう言いながら微笑むが、その顔は疲労の色が濃かった。
…国民的人気声優の取り扱いには誰もが苦労するのだ。

「未来ちゃんはよく頑張ってるよ。こっちの要求にもそつなく応えてくれる」
「そう言って下さると嬉しいです」
「あの子はまだまだ伸びる…頼むよ、若社長」

監督のところを離れ、いったんスタジオの外へ。
帰るにはまだ早い。
一服しようとスーツのポケットからタバコを取り出し、ライターで火をつけた。

「よお、社長、久しぶりだな」
「あなただって社長じゃないですか…」
一人の男が近づいて来た。

一ノ瀬啓太。
僕より5歳年上、中堅の人気声優。

彼ももともとは同じ事務所にいた仲間だったが、時同じくして独立。
今では声優であり、事務所の社長でもある。

SNSでこの小説を紹介

アイドル/芸能人の他のリレー小説

こちらから小説を探す