瑠璃子ちゃん☆ 76
カメラマンの方も、そのほかのスタッフさんも、明らかに慌てて、困ったような顔をしています。
これは…このままだと『事故』ですね。
聖子さんがスタッフさんに視線を投げかけ、やり取りを交わします。
スタッフさんとカメラさんが引き上げます。
どうやらここでの撮影は切り上げる模様。
「私たちも出ましょう」
聖子さんが小声でみんなに呼びかけます。
それに応じて、温泉を出ようとする私たち…
「きゃあっ!」
「ひゃあっ!」
後ろで、絵梨ちゃんと愛美が叫び声をあげました。
いったい何が…?
なんとおじさんは自ら『ブツ』を絵梨ちゃんと愛美にさらけ出していました。
「お嬢ちゃん、これがわしの気持ちなんじゃ!」
「いやぁああああ!!」
「お願いです、やめてください!」
大変です。このままでは絵梨ちゃんと愛美があぶないです。なんとかしなくては...。
なんとか、と言っても私も足が竦んでしまって動けません。
それに、おじさんのブツは、体格とは裏腹に結構大きい…
…って、ダメです!今そんなこと考えてどうするんです!大切な仲間がピンチなんです!
「落ち着いてください!」
そのとき、聖子さんがおじさんに向かって言います。
「2人に危害を与えないでください。よろしければ…私が何とかします」
せ、聖子さん!?
「みんなは先に行ってて…ここは私に任せて」
「そ、そんな…聖子さんを一人になんて出来ないです…」
「いいのよ。可愛い後輩のためなら、私が身代わりになるわ!」
「そ、そんな。だったら、私も身代わりになります」
ちょっ!何言ってるんですか!私!
「瑠璃子ちゃん。気持ちは嬉しいわ。でも、本当に私だけで大丈夫だから」
咄嗟に言ってしまいました。
でも、はっきりいってこのおじさん、何してくるかわかりません。怖いです。
それでも、聖子さんを一人にしておけない…!
「瑠璃子さん!」
「今のうちです!」
ゆかりちゃんと深雪ちゃんが声をかけます。
「わかってます…私も、後でそっちに…」
絵梨ちゃんと愛美も含め、4人は無事脱出しました。
そして聖子さんは…
ブツを誇らしげに晒し、その場に仁王立ちするおじさんに、ゆっくりと歩み寄ります。
…逃げるべきなのはわかってました。
それよりも、聖子さんがこれからどうなる?どうする?のかが、気になって仕方がなかったんです。