「ふふ、イイ子イイ子……」

　そう言ってミオリは仁を撫でた。頭ではなく腫れ上がった彼のウインナーを、手を用いず馬鞭を使って。平らな馬鞭の先を亀頭の先に触れさせ、よしよしとあやすように鞭を操る。
　短小のブツがピクピクと脈を打ちまくった。情けなく垂れた我慢汁が馬鞭の先にへばりつき、糸を引く。

「ほら、あーんして？」

　グイッと髪を引き、ミオリが蔑んだ目を向けながら甘い声で命じる。
　仁は腰を震わせてそっと口を開き、プッと吐き入れられたミオリの唾を飲み込んだ。
　短小のブツが空騒ぎしている。

「んふふ……じゃあ、続き見よっか……」

　ミオリは髪を引き起こして仁の首を操る。
　仁の目は、見知らぬ男に絡んでいる妻の姿を映した。

��んはあああ……んぅ、んぅぅっ……へ、へはあああ、ちゅっ……��

　男はすっかり寝転んでしまっていた。その上に跨がってるメイサがクネクネと尻を振って男の胸板を舐めている。
　流麗で肉厚な唇は夢中で男の胸にキスを浴びせ、チュッチュッと淫靡な音を立てる。唇から吐息と一緒に出てくる舌はベッタリと張り付いて滑り、小さな乳頭に触れると舌先をも駆使して蠢いた。
　仁の妻であるメイサにそのような愛撫をされている男は、なんと寝煙草を燻らせている。その態度はやって当然と言わんばかりのふてぶてしいものだった。

　まるで相手にしていないような様子の男。男に構って欲しくて夢中で舌をはわせているように見える妻のメイサ。ミオリに蕩かされた仁の頭に再度血が登ってくる。だが血流は短小のブツにも流れ込み、虚しい脈打ちを促して我慢汁を撒かせる。

「んふ、奥さんがあんなことしてるって言うのに……情けないの……」

　ミオリは床に撒かれる我慢汁を馬鞭の先で掬い、仁の内腿で擦り付けた。
　短小のブツが構って欲しそうに跳ねるが、馬鞭の先はそこには及ばない。

　メイサは切れ長の大きな目を緩ませ、その男に上目遣いを向けながら舌を這わせていく。拘束された身を捩り突き出した尻をくねらせてじっくり下がっていき、臍の窪みまで熱心に舐めた後、黒いボクサーブリーフの腰ゴムを噛んだ。

��まだだ��

　男の声に嘲笑が混じっている。それなのにメイサは悶えるように尻を振り、惜しむように舌を這わせていく。
　ボクサーブリーフの隆起している部分に下りた舌は、腹を押し付けながら舐め登った。舌が引っ込むと、唇を尖らせて開けられた口がボクサーブリーフの上部にある隆起の終点に被せられ、ハムハムと蠢きながら下へ下りていく。隆起を啄むようなその行為は幾度となく繰り返され、ボクサーブリーフの黒い生地が中に仕舞われているモノの形に変色していった。

「うわぁ……」

　ミオリは心底呆れた声を漏らした。何もしていないのに、短小のブツの先から白濁液が飛び散ったのだった。

「拓也より早いし……信じらんない……」
「拓也……？」

　屈辱の射精にもかかわらず快感に浸っていた仁は、ミオリの口から出た名前に反応してしまっていた。

「そう、拓也。静香と結婚した、あの拓也。あいつも短小早漏だけど、あなたが記録更新しちゃった……」

　ミオリは飛び散った精液を馬鞭の先で器用に掬い、

「おめでとう……じーんちゃん……」

　それを仁の頬を擦り付けた。
　これまた屈辱的な目に遭っているのに短小のブツが反応を示した。スタミナだけはあるらしい。
　己の子種から漂う生臭いカルキ臭に顔をしかめながら、仁はベッドの上の二人から意識を離せないでいる。

��ケツをこっちに向けて足まで行け��
��あふう……はいぃぃ……��

　信じらんない命令に躊躇いの返事が返る。
　メイサは男の胸を跨いで頭と尻の位置を変え、足の付け根に舌を押し当てた。ハフハフと荒い息遣いまで鮮明に聞こえる。
　男は煙草を吸い終えたのか、両手で赤いショーツを引ん剥いた。

��んふぁ、あはぁぁ……��

　尻を晒け出したというのにメイサの口からは甘い吐息が吐き出される。それからは舌を動かし続けて、男にされるがままショーツから片足を抜いて下半身を露出した。

　尻を丸出しにされたというのに、それをクネクネと振りながら男の足を舐めていく妻の姿に仁は打ちのめされていた。
　男はまた寝そべって、突き出して振られるお尻を眺めながら妻の舌の感触を今は膝で膝で感じている。男の目には妻の大事なところまで映っているに違いない。
　妻のメイサは男を煽るように尻を回しながら脛の方まで舌を至らせる。形振り構っていないようでありながら、とても丁寧に隈無く舌を這わせている。その顔は仁が見たこともないほど蕩けており、幸せそうだった。
　男としての敗北感に歯噛みする仁。
　他の男にねっちり尽くす妻の姿に燃え上がる短小のブツ。
　そのウインナーの裏側を馬鞭の先で巧みに撫でられ、震える腰。
　とどつまり仁は、他の男に抱かれて恍惚としている妻の姿に興奮しているのである。寝取られマゾというやつだろう。男らしいのは陰茎を除く肉体だけなのだった。