姉、僕、妹、妹 24
「は〜い。合奏するわよ。」
部長の一言で本番と同じ並び方を作った。
「じゃあ宜しいですか?頭から行きますよ。ワン、ツー、スリー、フォ、ワ」
パラパパパパ〜
プーパパララ〜ピポパ〜パ、パ〜
「はい。結構です。かなり良くなって来ているようですね。部長のご意見は如何ですか?」
「そうね……まぁ指揮者側が良いって言うなら私も良いわ。」
「何か気になりましたか?」
「『ドレミの歌』から『御転婆マリア』までもう一回やってもらえるかしら?」
「分かりました。では練習番号C´のアウフタクトからでお願いします。」
タタタタァラッタタ パパパプ〜パパパ
キンカンコッコッコココ ピポポポピポポポ
リ〜ラル〜ラリ〜ラ〜ル〜
「横のつながりを意識して。」
タ〜タ タタタタタ〜 タ〜タ タタタタタ〜
「クレッシェンド〜!」
タタ タ〜タ〜 タ〜タ〜 タ〜
「そのままの勢いで!」
タタタタタタタタ ダンダン!
「『御転婆マリア』に入ります。」
タラララッタタラララッタタ〜ラ〜
「はい、ストップ。」
部長が手を挙げた。
「『ドレミの歌』は二拍子で『御転婆マリア』は四拍子でしょ?それをもうちょっと意識してね。」
「は〜い。」
「それと『御転婆マリア』のメロディーとなるクラリネットが『ドレミの歌』の速さのまま突っ込んでるのよね。」
「それは僕も思っていたのですが……ただそれは僕の指揮に問題があるのかと……」
「気にしなくて良いのよ。むしろ君の指揮がクラリネットが突っ走るのをセーブしてるわ。」
「そうですか。」
「じゃあその辺に注意してもう一回。指揮はC´のアウフタクトから振ってね。」
「はい。」
タタタタァラッタタ パパパプ〜パパパ
キンカンコッコッコココ ピポポポピポポポ
リ〜ラル〜ラリ〜ラ〜ル〜
ラ〜タ ラタラタラ〜
ル〜ラリ〜ラリ〜ラ〜ル
ラ〜タ ラタラタタ〜
「段々大きくして……でも一気には大きくしないで……」
パ〜パ パパパパパ〜
「チューバとバスクラでもっと支えて!」
タタタタタタタタ ダンダン!
「スピードに気をつけて。」
タラララッタタラララッタタ〜ラ〜
タラララッタタラララッタラ〜
「はい。やめて下さい。」
「僕としては少し良くなったように感じます。部長は如何ですか?」
「そうね。改善されたわ。じゃあちょっと休憩しましょう。」
「はい。」
「指揮者が一番汗びっしょりね。大丈夫?」
「大丈夫です。」
「お兄ちゃ〜ん。」
「ん?」
「ジュース買って来るけど何か買ってこようか?」
「気持ちだけで良いよ。ってあんまり飲むと吹く時にきついぞ。」
「大丈夫〜。加減するから〜。」