幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 62
―――涼子の部屋―――
「うーーーん……」
ドアに寄りかかって寝ていた涼子が目を覚ます。
変な体勢で寝ていたため、首が痛い。
ガサ……
「んっ?」
窓の方から何か聞こえたような気がして、首を揉みながら窓を開ける。
アリスが窓から飛び出したのは、ちょうどその時。
涼子には気付かず、アリスは塀の向こう側―――暗い森の中へと消えていった。
「………まだ酔ってるみたい」
フラフラとベッドに潜り込み、そのまま涼子は眠りに就く。
いつも閉めている、窓を開けたまま………
―――女子寮近くの森の中―――
そこに封印されていたのは、30匹程の色餓鬼(しがき)といわれる‘食欲’ではなく‘色欲’に飢えた餓鬼の一種で、200年前は『女を犯せる』という単純な理由から、茨木軍に属していた。
もっとも、大した力も無い妖怪なので、殆ど捨て駒扱いだったが………
他にも幾つか例があるのだが、本来地下深くに封印される筈のところを、彼らは地表にある大岩に封印されていた。
その為、岩の中から出ることはできないが、周りの様子を見たり聞いたりすることができた。
といっても周りは森しかなく、面白いものなど何も無かったが、20年ぐらい前に神阿多都女学園の寮が出来た時は皆狂喜乱舞した。
何しろこちら側には森しかないと思って、よく窓を開けたまま生徒達が着替えをしたりするからである。
そしてその日は、寮の3階の窓に一人の金髪の少女―――アリスの姿があった。
スケスケのネグリジェを着たアリスは、明らかに色餓鬼達の存在に気付いているらしく、ジッと大岩の方を見ていたが、やがて奥に引っ込んでいった。
そして再び窓際に戻ってきたアリスは、パンティを脱いでおり、そのピッタリと閉じられた一本のスジが、ネグリジェ越しに透けて見えた。
これに興奮した色餓鬼達がもっとよく見ようと目を凝らすと、アリスは妖艶な笑みを浮かべ、今度はネグリジェの裾を掴んで胸の上まで捲り上げた。
月明かりに照らされ、まだ幼い白い裸身が浮かび上がる。
まだ膨らみ始めたばかりの小さな胸に、桃色の乳首―――
和毛すら生えていない股間の割れ目―――
今まで人・魔物問わず、何人もの‘雄’の欲望を全身で受け入れておきながら、その姿はまだ穢れを知らない処女の様である。
興奮した色餓鬼達は、さらに目を凝らし、自らの手で己が肉棒を擦り始めた。
と、そこでアリスはネグリジェを元に戻した。
色餓鬼達が落胆していると、アリスは窓から文字どうり飛び出し、そして………あっという間に、大岩の上へと降り立った。