モンスターハーレム 第2章 59
そしてサーク。こっちは先ほどの戦闘で負った傷がいえることなく、コポコポ血を泡立たせながら『う〜う〜』とうなっている。
正直なんで生きていられるのか、不思議なくらいの状態だ。
「おもしろいだろう?私も仕事柄いろんな種族の魔物の身体を見てきたが、こんな症状は見たことがない」
「どういう・・・こった・・・?」
搾り出すようにしてやっと吐き出せた疑問にサルスベリは極めて冷静な口調で解説を始めた。
「私も初めてだから推論でしかないが・・・。
2人ともおそらくそれぞれの力で死にかけた身体を回復させようとしているんだろう。
サークはバーサーカーの驚異的な身体能力と生命力で。
ロカは自らを石化することで、な」
「ま、待ってください。バーサーカーのサーク様はまだわかりますけど、ロカ様は何で・・・!?」
口元を押さえて言うミミに、サルスベリは『私も文献で読んだだけだから断言はできんが』と前置きしてから回答した。
「妖狐族に伝わる妖術の中には、死にかけた身体を石化させることで回復を図る術があると聞いている。
しかし身体を石化させる以上、その回復がどれだけ遅く困難なものかは想像できるだろう?」
確かに。生命力が低下した状態で回復するだけでも難しいのに、石化なんてしたらどれだけ時間がかかるかわからない。
オレだったら、傷が治る前に自分が生き物であることを忘れてしまいかねないだろう。
「一方は傷は石化していて治療ができん。
もう一方は治療中にバーサーカーになって暴れかねんから治療ができん。
まさに八方塞がりというわけさ。
さ、何かいい案があったら言ってくれ。
どうせこのまま放っといたら2人とも死んでしまうからな」
サルスベリのムカつく発言を合図に、オレたちは2人の治療方法を探る。
もっともオレたちは医者どころかずぶの素人だから、暗闇の洞窟を手探りで進むような話であったが。
とりあえずサークの場合は暴れること以外は問題ないので、まずはロカから救出方法を考える。
「回復魔法や薬草の類は効かないのか?」
「すでに試したが、効果が薄い。薬なんて焼け石にみずだったよ」
「ならそれを大量にぶち込めば・・・」
「そんなことしたら魔力枯渇による半死人を量産した挙句、風船のように破裂して死んだロカの死体の出来上がりだな」
オレの意見は即座に却下。
あーあー、そんなこったろうと大体見当ついてましたよッ!
続いてサルモネラから意見が飛び出す。