モンスターハーレム 第2章 60
もっとも彼女のセリフは聞こえづらいので、ミミが代弁してくれたが。
「・・・・・・?」
「『房中術ならどうですか?』とサルモネラ様がおっしゃってます」
「悪くはないが、あれも回復魔法の1つだからな。
薬や魔法の効きが悪い以上、せいぜい現状維持くらいが関の山だろう」
房中術、という言葉に狭霧がさっと顔を赤くする。
・・・はい、私のせいですネ。だからそんなににらまないでクダサイ。
しかし困った。薬もダメ、魔法もダメ、房中術もダメとなると手の打ちようがない。
後は残された時間を使って調べるしかないか?
そう思われたそのときだ。
アンジェラとラムレーネがボソッとつぶやいた。
「せめてお2人とも、足して割ったような病状だったらよかったのに・・・」
「あ、それ私も思った。
ロカ様にサーク様の血の気が分けられれば、あっという間に助かりそうだもんね〜。
サーク様も少しくらい血を抜けばおとなしくなるかもしれないし」
『それだッ!!』
「「ッ!?」」
その言葉にオレだけでなく、オルゾス、ナナリ、狭霧、テス、白亜など知力担当(仮)の面々が一斉に声を上げた。
驚いた2人は何事かと両目を見開かせた。
「サルスベリっ!ロカにサークの生命力を移すことはできねえかッ!?」
「ロカに?サークの生命力を?」
「ああ!ロカにサークの生命力の一部を移して、房中術なり何なりすれば助かるかもしれねえ!」
「加えてサークはバーサーカーとしての特性が薄れ、回復してもすぐには暴れられなくなるかもしれん」
「狭霧、追加説明ありがとうッ!どうだ、サルスベリ!!
これなら2人とも――」
「却下だ」
『え・・・!?』
突然の却下宣言に、オレたちは一斉に固まる。
なぜ?今の考えの一体何が悪かったのさ!?
たちまちオレたちから抗議と不満の声が上がる。
「ええい、うるさいッ!今解説してやるから黙ってろっ!」
サルスベリと一喝とアスタナビュートたちメイドゴーレムの殺気で、オレたちはしぶしぶおとなしくする。
誰だって命は惜しいのだ。
「いいか?おまえらの案を却下したのは主に2つの理由からだ。
1つ。おまえらの今言った方法は、ラグを作るのと同じ禁忌に近いことであること。
2つ。仮にそれを行うにもその設備がないこと。
この2点の理由から却下せざる得んのだ」
「ちょっと待て!マッドサイエンティストのオマエが禁忌を犯すなんざ、屁でもないだろ?
そもそも必要な設備ってのは何だよ!?」
「忘れたか、ラグ?オマエを生み出したあの存在を」
「・・・あ!」