アルス正伝 103
「あぁ…アルスさん、今日も大量ですぅ〜」
「お前の中が気持ち良すぎるからだ…ばか」
そう言うとアルスはサフィアの唇に軽くキスした。
その後、リンダも加わって、5人は東の空が白み始めるまで、この乱交とも呼べぬ奇妙な情交を続けたのであった…。
「お早うさん!昨夜はそっちもずいぶんお盛んやったみたいやないか?」
翌朝、シルビアが眠い目をこすりながらテントから出て来ると、爽やかな顔をしたドンがやって来て言った。ちなみに残り4人はまだ夢の中だ。
「い…いえ、私はその……と…ところで、これは一体何なのですか?」
照れ隠し半分でシルビアは尋ねた。
そこにはババロア大公から借り出して来た数台の投石器と無数の皮袋が山積みにしてあった。
「これか?これこそワイらの最強の秘密兵器や!」
ドンは怪しくニヤリと笑って言った。
「秘密兵器?中を見ても良いですか?」
「おう!ええで」
シルビアはおずおずと皮袋の山に歩み寄る。まだアソコの違和感が残っているためか、歩き方に少し違和感があった。ドンも気付いていたが、そこはあえて突っ込まない事にした。
シルビアは袋の一つを持ち上げてみる。中に入っているのは液体のようで、タプタプと揺れているのが分かる。
「開けてみい!」
「はぁ…」
彼女は言われるがまま、皮袋の口を結んでいる紐を解き、中をのぞき込んだ。
「毒の水でも入って…うっ!?」
次の瞬間、彼女の鼻は強烈な悪臭を感じた。思わず吐き気を覚える程だ。
「これは…糞尿ですか!?」
「おう、分かるか?」
「分かります!!それならそうと言ってください!マトモに臭い嗅いじゃったじゃないですか…」
「ハハハ…すまんのう!これを投石器で反乱軍の砦に放り込んだるんや!こいつは効くでぇ〜」
「確かに…」
たかが糞尿と侮ってはならない。それが飛んできた時の精神的ダメージは矢や岩よりも大きく、さらに井戸に入ったりすれば飲み水として使えなくなってしまう。
だが最も恐ろしいのは目には見えない細菌である。
敵の水源に糞尿を放り込んだのが世界最古の生物兵器という話もあるくらいだ。
医学の未発達な時代、衛生環境の悪化は深刻な被害をもたらす。
伝染病である。
こうなればもう城内に留まっている事は不可能だ。
反乱軍は城を打って出ざるを得なくなるだろう。