幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 103
大蛇の舌が紅夜叉の耳や鼻の穴を舐り、口に頭ごと入り込もうとした大蛇に舌を甘噛みされる。
ほかにも乳首や臍も責められ、残った妖力を搾り出される。
「献上は難しくなったがこれで暴れられることはないだろう」
「うむ。残念だったな、娘。機会があればアイツに会えるだろう。何、死にはしないがしばらく動けなくなるだけだ」
そういうと炬俐は乱れる遠呂智と紅夜叉を残して船室の扉を閉じた。
「さて、これからどうするか…」
地上に上がる階段の方に向かいながら炬俐は思案する。
「娘の代わりに菊名でも……いや、やめておこう」
昼間に菊名に噛まれた事を思い出し、頭を振って別の事を考える。
「そういえば、ここの出口の近くに色餓鬼共を封印した大岩があったな」
今回の襲撃で炬俐は、ホテルと少なくない数の手下を失った。
今まで放置していたが、戦力補充の為に色餓鬼達の封印を解く事を思いつく。
「大した戦力にはならんが、使い走りぐらいはできるだろう。封印を解いてやるか……」
炬俐は階段の出口を遮るような石の天井に手をつけると軽く押し上げる。
並みの人間が数人がかりで押したところでびくともしないが、大妖には造作も無いことだった。
ズン、と地響きを立て、出口を塞いでいた岩が転がり洞窟内に初夏の空気が流れ込む。
同時に男としてはあまり嗅ぎたくない匂いも流れ込んできた。
「うぷ!」
「何だ?この臭いは!」
炬俐と蛇は顔を顰めながら出口から顔を出し、辺りを見渡す。
匂いの元を探し当てるとそれは目指していた岩から立ち上っていた。
「蛇…これは一体…」
「どう見ても俺達以外の誰かが封印を解いて一悶着あったんだろ」
割られた岩にこびり付く夥しい精液の跡が悪臭を放っていた。
「一体誰が…ん?」
炬俐は悪臭の中に違う匂いを感じ、岩に飛び乗る。
精液は乾ききっていたので滑りはしないが気持ちいいものではない。
岩の割れ目から離れた所に血の跡があった。
「破瓜の血って訳じゃないな」
蛇の声を他所に炬俐はボールペンの先で血痕を削り、鼻に近づけた。
そして見下ろす位置にある神阿多都女学園寮の方に視線を向けた。
―――学園寮・アリスの部屋―――
夕食の時間も過ぎ、寮生達が自分の部屋や食堂・ロビー等で、思い思いに過ごしている頃。
昨晩した約束通り、今夜もアリスは色餓鬼達の奴隷になっていた。
「ンァァ!! イィ…アン、アン、ァァン……」
「ケケケッ! 相変わらずいい締め付けだぜ、ほらっ!」
「アァンッ!!!」
全裸に首輪だけという姿のアリスを、ベッドの上で色餓鬼達が責め立てる。