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陣陽学園〜Fight School〜
官能リレー小説 - 学園物

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陣陽学園〜Fight School〜 79

最悪、去勢された者もいるだろう。

出流は深く触れまいとしたが、白磁は俯き加減に語り出す。

「…僕と同じく…見世物に参加した…背信者だけが…去勢を免れました…。」

踏み絵が如き見世物に参加した者の殆どは保身から縁を切り、十字軍に残った『男』が白磁の他に一名。

「…残って…くれたのは…。」

その大柄な男子生徒が戸口に現れたが、彼は何故か敷居を跨ごうとしない。

「やめろ白磁君。」

劣等科に珍しい男子ブレザー、ホモ限定の男娼たる証だ。

かつて片玉潰される覚悟で蜂丸市花を驚愕させた、浦岩公次(うらがんこうじ)であった。

彼は一度睾丸を潰される苦痛と恐怖を知っていたが為、見世物に参加してしまった。

それを罪と認め我が身可愛さ残した金玉ひとつに賭けて、劣等科に居残り影から憂国十字軍に尽くしていた。

不器用ながら憂国十字軍随一の手練れ。

それを見抜いたが故に市花が真っ先に潰したのかも知れない。

彼一人で劣等抜けなぞ造作もない、本来ノンケで女も抱ける。

残した金玉ひとつ賭け、自分なりの男を通す。

「俺みたいになるな白磁君。」

浦岩は白磁にそう告げるなり背を向け立ち去った。

十字架に背く大きな背中には、白磁の焼印より更に大きな逆十字の刺青を背負う男。

任侠は宗教に似て非なり宗教もまた準じて然るべく。

十字架拝まぬその背こそ正に聖者。

幕辺壷美は静かなる敬意をもつて十字を切っていた。

白磁は直立不動で奥歯を噛み締め涙を堪えた。

シスターはただ一言、彼の背に『お兄ちゃん』と呟いた。

そして出流は『何で納得してんの?正直ウザいんだけど?もう断れない雰囲気?』という本音を呑み込んだ。

その本音を飲み込みながらも、チラ見してしまうのは白磁の立派な股間・・・

もの欲しそうな眼になってるのが自分でも気づく。

自分でも理解してきたが、自分の本来の姿は相当性欲の塊だって事・・・

抑圧され型にはめ込んできたものが壊れ、それを理解できるまでになったが、もうそんな自分を認めれるようにはなった。

そもそもアスリートや格闘家と言った類は、身体を極限まで鍛えたり、勝負に対する飽くなき執着心があったりする。

恵まれた肉体故に人一倍強い欲望に、アスリート独特の特性・・・

鍛え抜く事の奥底にあるマゾヒズムと他者と競い勝っていく事の奥底にあるサディズム。

出流は他者と競い合うより黙々と鍛えるタイプ・・・

その奥底にあるのは当然強く純粋なマゾヒズムだった。

なので、こんな立派なモノを見たら、ガンガンと尻を突かれたい欲望が燃え上がる。

肉体は一応男でも、その本性はメスなのだ。

それも出流は自分だと理解できていた。

出流はそうしたメスの部分から目を反らし、受け取ったファイルをチラ見する。

今後の役に立ちそうな白鳳組傘下組織の概要。

そしてその備考程度でも出流が何より欲しがっていた奥の院についての情報。

資料を寄越してくれただけでも幕辺の条件を呑むしかない道理。

「まぁそれはそれだ、同じ事を二度も、言わせてくれるなよ、八霧出流?」

呼び出す時点で出流が首をタテに振ると確信していただろうに、幕辺壷美の言い回しは廻りくどい。

「・・・!」

「まだ頭が高い、気もするが、私は寛大でな、任せたぞ八霧?」

出流はその狡猾さと図太さに歯噛みしながら無言で、首をタテに振り山吹組の客分として扱う事を承諾。

雑居房まで白磁を連れ帰る訳にも行かないので、出流は彼と連絡先を交換し、今日の所は簡易聖堂を後にした…。

そして、数日後・・・

出流指名の客リストを貰った瞬間、彼は眼を見開いた。

この客は会ったことはないがよく知っている。

鳳優雅・・・

そう、白蘭組の総帥だ。

確か奥の院にも入場できるらしい彼・・・

そして、今までここに現れた形跡のない彼が、このタイミングで出流の前に現れる・・・

これは、出来過ぎたシナリオだ。

しかし、これはチャンスだ。

向こうからやってきてくれたと思えばいい。

恐らく何らかの取引があるのだろうが、高く売ってやればいい。

そう気持ちを切り替えた出流は、彼と会うために仕事場へ向かったのだ。


こうやって面と向かうのは初めて。

完璧なまでの男がそこにいた。

長身美形、頭脳明晰・・・

そして、名門家系の財閥御曹司。

名前の通り優雅な佇まいで出流の前に居た。

「君に会えるのを楽しみにしてたよ・・・八霧出流・・・」

優雅の笑みに返すように出流も微笑む。

そして、何もない空中に顔を向けた。

「僕も楽しみでした・・・でも、3人も連れ立って来るなんて野暮ですよね」

空気が明らかに震える。

優雅は微笑んだまま感心したように『ほう』と呟いた。

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