風紀委員Girls! 645
「うん…これは、なかなか…」
「祐樹は確か会ったことがあるかと」
「…いい思い出がないよ」
彼女もそうだけど、清美の幹部勢にはブン殴られ投げ飛ばされ、痛い記憶しか残っていない…
「俺だっていい思い出ないよ…清美の生徒会長…あのちっこいの、すごく強かったじゃん…」
「ああ…」
剛が苦笑いして振り返る。
「おっと、デカイ声は出せないよな…アイツ、清美の制服だぜ…」
離れた席に座っている女子高生を見ながら剛は声を潜めた。
「待ち合わせかな?…、それにしても清美の女子って桜咲とはまた違った魅力があるよな…」
誠は鼻の下を伸ばしながら清美の女子を眺める。
「いいのかそんなこと言って?…外人女子か聞いたら、蹴り入れられんじゃないかぁ〜?」
「そんな怖いこと言わないでくれよ…」
祐樹が茶化すのを、誠は妙に真に受けてしまって弱気になる。
「冗談のつもりなのにな…清美の子が可愛いのはわかるけどさ」
「清美の子のほうが、な」
剛がコーラを飲みながら訂正を入れる。
「…何なのかな、あの集団」
その離れた席にいたのは清美風紀委員諜報部いちのお調子者・荒浪和葉である。
席が離れているので会話は聞こえてこないが、チラチラと盗み見られていることにいい気はしない…
全く…あの二人は青海の制服よね…
もう一人は友達かしら?…
どう見てもまだ自分と同じ歳ぐらいにしか見えないのに、こんな時間に私服なことに首を傾げてしまう…
向こう側の視線を気にしながら、和葉はカバンから一冊のノートを取り出し、開く。
「ごめん和葉、待った?」
「ん?…いや、そうでもないよ」
やってきたのは桜咲の制服の少女。
彼女は古川栞。和葉とは幼い頃からの親友である。