風紀委員Girls! 319
「そんな甘い考えでいない方がいいわ…相手は黒獅子の幹部クラス、何をしてくるかわからないのよ」
先頭を行く恵里奈は低い声で、諭すように言う。
「そ、そうですよね…清美の風紀委員があんな目に遭うくらいですもんね…」
佳奈は表情を強張らせて、緊張の面持ちで言う。
「そう…桃子さんを酷い目に…彼らの仕業としたら、許せませんわ…」
静香が強い口調で話す。
「あ、あの工場じゃない?」
椎奈が声を潜めながら指をさす…
「そうね、立ち退きにあった街工場…この辺りは住んでいる人も疎らみたいね…」
「あいつらが隠れるのには打ってつけな場所だった訳よね…この時間になるとほんとゴーストタウンみたい…」
佳奈が表情を険しくさせる。
拳をぐいと握りしめ、瞳に強い力が宿る。
「向こうを待たせてしまっているかしら?早く話をして、なんとかしたいものね」
恵里奈はきっぱりと言い放つ。
…彼女たちはまだ知らない。この廃屋の中で、根来と雑賀ら黒獅子一味が拉致した中学生を陵辱していることを…
その頃彩未と春日も静香たちの側まで来ていた…
「ありがとうございました。この辺りで大丈夫です…」
「何言ってんだよ、こんな所に君一人にして帰れる訳ないだろ。」
「そんな、もう仕事上がられたんですよね?…」
「馬鹿言えよ、刑事に定時なんかあるもんか。見てみろよあの工場、いかにも危険そうじゃないか…」
「確かあそこはちょっと前に会社が倒産して、誰もいないはずですけど」
「だからこそ、だよ。いかにも奴らがアジトやたまり場にしてそうじゃないか」
彩未は春日にお辞儀して、その場を後にする。
「まあ、気をつけなよ」
「はい」
春日は別れたフリをして、その場に車を止め、しばらく待機するのだった。