風紀委員Girls! 320
それは刑事としては当然なことではあったが、それよりも春日は彩未のことが気になっていたのだ。
こういう形で出会った以上、そんな風に思ってはいけない…
増しは、彩未は妹と同じ歳じゃないか…
そう思いながらも、自分の気持ちに嘘はつけなかった…
春日は彩未に、一目惚れしてしまっていたのだ…
彩未の姿は春日の視界から次第に遠ざかる。
…なんとしても、彼女は守らねば、その気持ちが沸く。
「あれ?彩未…どうしたの?」
「えっ…舞…なんで?」
反対側からやってきたのは、舞と彩、理穂の3人。
「こんな所に一人で来ちゃ危ないじゃない〜」
「うん、そこまで刑事さんに送って貰ったんだけど…」
「刑事って…麻耶さん?」
「ううん、麻耶さんの部下の春日って人、イケメンなんだけどなんか頼り無い感じの人…」
「そうだよね…こんな所に彩未を置いていくなんて、男としては失格だぁ…」
「ううん、私が、ここで降りたいって言ったから…」
「彩未…何をするつもりだったの?」
舞が訝しげに尋ねる。
「私だって、桃子があんなことになって…なんとかしたいって思って…私は、桃子に助けてもらったんだから…」
「うん…その気持ちはわかるよ。でも1人は危険だよ。私たちもついてるから」
「よかった。本当はちょっと怖かったんだぁ…」
「だよね。人気のない街って…なんか無気味だよね。」
「そう、あの工場から変な声が聞こえてくるような気がして…」
「うぁ;彩未にも聞こえてた?…私もさっきから女の子が啜り泣くような声が聞こえている気がしてさ;」
「舞も彩未も何言ってんのよ?あれは空耳なんかじゃなくて、現実に誰かがあの中で泣いてるんだよ…」