先祖がえり 117
狐太郎は少し悩んだが
「・・・じゃあ・・・」
どうやら試してみることにしたらしい。
「・・・加奈ちゃん、いいわね?」
「・・・はい。」
二人はこれから襲うであろう快感に耐えるべく歯を食いしばった。
「・・・ごめんね。」
狐太郎は一つ謝ると
「・・・!! っく、うひゃああああああ!!」
まず先に反応したのは加奈である。事前に分かっていたとはいえ完璧に耐えきることは出来なかったようだ。
そして
「・・・っくう・・・あひゃっ! ほら・・・ね?コタちゃ・・・ひゃああ!! 大丈夫・・・でしょ?」
留美は何とか快感に耐え、必死に大丈夫だとアピールする。
それをじっと見ていた狐太郎は
「・・・ホントに・・・怖くないんだね?」
そう言って快感を送り込むのを止める。
留美は狐太郎がやっと納得しようとしていると分かり
「ええ。もう怖くないわ。これからはどんどんやっても良いんだからねっ。」
安心させるため少しおちゃらけてみせる。
「・・・ごめんね、お姉ちゃん・・・」
再度謝る狐太郎。
しかしその顔に悲しみは見られなかった。
「さぁ、そろそろ帰りましょうか。」
留美はそう言うと狐太郎を抱き直しながら服の乱れを整える。
母乳を噴かせたせいか若干胸元が湿っては居るが、まあじきに乾くだろう。
「加奈ちゃん、行くわよ?」
「はい。留美様。」
狐太郎を抱いた留美に加奈はついて行く。
その時
「・・・えへへ♪」
留美の腕の中の狐太郎が笑顔を見せた。
「!!! ど、どうしたの?」
その嬉しさに悶えながらも努めて何があったのかを聞こうとする留美。
「あのね・・・またこの部屋でお姉ちゃんに抱きしめてもらったんだなぁ・・・って思って・・・」
それだけ言うと狐太郎は恥ずかしそうに頬を染め、その顔を見られないように留美の胸の中に顔をうずめてしまった。
その何とも愛らしい仕草を見て
「・・・加奈ちゃん。」
「・・・はい、留美様。」
「・・・本社に伝えて。この家・・・特にこの部屋を特別に保護するようにって・・・」
「・・・はい、かしこまりました。」
愛する狐太郎の思い出を守るべく手を尽くす留美であった。
「ただいま〜」
屋敷に着いた留美達はその到着を知らせる。
その途端
「(・・・タタタタダダダダダ!!) 留美様!!加奈様!!」
屋敷の奥から美咲が駆けつけてきた。
「み、美咲ちゃん・・・」
「美咲さん。ただ今戻りました。」
「そ、それよりっ!!狐太郎様はっ?!」
美咲は加奈や留美の挨拶を振り切り狐太郎の安否を心配する。
すると
「・・・美咲・・・?」
留美に抱かれていた狐太郎がその顔をあげる。
「ああ・・・良かった・・・良かったぁ・・・」
美咲はその姿を見た瞬間、その場に崩れ落ちた。
「ちょ、ちょっと美咲ちゃん・・・」
「だって・・・源之助様から狐太郎様が居なくなったと聞いて・・・私・・・うああああああん!!よかったですぅぅ!!」
珍しく涙を流す美咲。よほど心配だったのだろうか。
その時
「・・・どうやら戻ってきたようだな・・・」
奥から源之助が姿を表して来た。
「あ、お爺様。ただ今戻りました。」
「源之助様、ご心配をおかけしました。」
二人は頭を下げる。
「全くだ・・・こら、狐太郎。あまり皆に心配をかけるんじゃないぞ?」
源之助は狐太郎に近づき、中腰になって狐太郎の目を見て優しく叱ってやる。
「あうう・・・ごめんなさい・・・」
狐太郎は自分がどれほど周りに心配をかけたかを思い知り、申し訳なさそうにシュンとする。
「うむ。分かればよろしい。それより留美、事情を話してもらえるか?」
スッと背筋を伸ばした源之助は留美に事情の説明を求める。