戦争 5
「新兵共、貴様等のここでの仕事は敵を駆逐し勝利を勝ち取る事だ!
そして、もう一つ!
出撃後、生きて帰って来た者は、搾精の業務を果たして貰う!
死に直面した時に作られる精子には、高い生命力が宿る事が確認されているからな!」
簡易テントの中、略式の配属式が行われた。
「但し、なんの戦果も上げず、ただ生きて帰って来ただけの無能に、貸し出す女は居ないぞ!
役立たずは、自分の手で惨めにシコっていろ。
ここは本国と違って、女の数にも限りがあるからな!
女を抱きたければ、結果を出すことだ!
分かったか、貴様等!」
「「イエッサー!」」
翌日、僕たちの初出撃の時が来た。
今回の任務は奇襲部隊の援護だった。
敵の正面で派手に暴れ、注意を引き付ける危険な任務である。
しかも相手は魔法大国マザートだ、こちらの装備以上の火力がどんどん降ってくる。
対する僕らは魔法を使える者は、たった一人しかも初歩的な物だけ、僕たち一般兵の装備も化学大国カアラの旧式銃の劣化コピー品、絶望的である。
こちらとしても死にたくないから、気休めに強化魔法を使って対抗しているものの。
魔法水準で自国のはるか上を行くマザートに勝てるわけがない。
奇襲で手に入れた優位はすぐになくなり、数に物を言わせた消耗戦という名の乱戦が始まる。
炎や氷のつぶて、雷などが雨あられのように降り注ぎ。
不可視の刃が次々と仲間の首や胴体、手足を切り刻む。
旧式の銃を片手に援護射撃をしていると、すぐ隣にいた同僚に強力な雷撃がお見舞いされて黒焦げの消し炭と化した。
1歩間違えれば、自分が死んでいたかもしれない恐怖に、僕は今すぐここから逃げたい衝動に駆られる。
だが逃げたところでいい的にされるだけだ。自分を殺すのが敵か味方かの違いでしかない。
泣く泣く逃げたい衝動を我慢して、僕はひたすら粗悪な銃を撃ち続けた。
戦いは1日だけで終わらず、3日かかってようやく敵勢力を撤退させることに成功する。
休むことなく戦い続けた僕たち新兵は、肉体的にも精神的にももうボロボロ。
せめて敵が来ないうちに身体を休めようと思っていたところに、容赦なく先輩たちの厳しくも気持ちいい洗礼が待ち受ける。
特効薬となる受精卵と、より優秀な兵士を作り出すための製造作業だ。
こちらは疲れて動けないことをいいことに、先輩たちは雪崩となって自分たちに襲いかかり、その子種を搾り取る。
何しろ明日の命が知れないのは先輩も僕たちも同じこと。
死んでも代わりはいくらでもいると次々と投入・・・いや、補充される。
僕たちにできることと言ったら、少しでも生き残る可能性を高めるために特効薬の製造にいそしむか、自分たちが生きたあかしを残すことくらいしかないのである。
それゆえに男の補充が来たときの女兵士たちの興奮はすさまじい。