ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 952
香澄がそう言ってくれて一安心する。
よそ者の由乃さんは僕より風当たりが厳しいはず。
おそらくお屋敷の従業員を一手にまとめることになるであろう香澄が由乃さんをサポートしてくれるなら、それは大きなプラスだ。
「匠さんの憧れの人をそんな目には合わせませんよ」
「わかってくれてうれしいのか、うーん…」
憧れの対象というか…ほぼオカズに使っていただけになんとも複雑な心境ですがね;…
「だから匠さんも出来るだけ力になってあげてくだいぃ吉乃さんの為に…」
なんだか意味深な言い方じゃないか?…
そんなことになったとして…香澄は許してくれるんだろうか?…
「香澄がそこまで言うなら…」
「はい、家族ですもの」
にこやかに笑ってそう言う香澄。この短期間でずいぶん大人の女性になったと感じる。
それだけ娘2人の存在が大きいのだろう。
コンコン
「あれっ、誰かしら」
僕がドアを開けると、そこにいるのは由乃さん。
「ごめんなさい、いきなり…和彦さんはまだ時間がかかるというので…」
「いえいえ、どうぞごゆっくりおかけください」
申し訳なさそうにソファーの隅に腰を下ろす由乃さん…
何か話しでもあるのかな?…
「ごめんなさいねお父様ったら…初めて来た由乃さんを1人にして…」
まあ香澄の言うことは最もだよね…由乃さんを放ったらかして今頃澪さんとよろしくヤッてるのかぁな?…
まあ澪さんは魅力的な人だから、今日みたいな格好だったら和彦さんだって我慢できないだろう…男ってそういう生き物だ。
でもこれからのパートナーは由乃さんだもんなぁ…
「お茶入れますねぇ」
「わざわざすみません…」
このやりとりだとどちらが年上なのかわからないな。
「由乃さんもここの家族の一員のようなものです、相談があったら何でもしてください」