「2人だけの方が意外と話しにくいなんてね」
「そうですかね？」
由乃さんはまだここでの生活に慣れてないのはあるだろうけど。

「香澄も連れてきましょうか」
「彼女は未成年だし、お子さんのお世話もあるでしょうから…」

まあそうだな…子供の面倒はメイドちゃんたちに任せることが出来たとしても、香澄はまだ退院したばかりってこともあるしな…

「それじゃちょっと部屋に戻ってから伺いますよ…」
一応報告はしておいた方がいいだろうからな…

「そうね…彼女の顔をちゃんと見てからの方がいいかもしれないはぁね…」

由乃さんと別れ、いったん自分の部屋に戻る。
香澄はソファーでくつろぎながら本を読んでいた。

「おかえりなさい」
「遠出はしてないけどね」
樹も香もベッドの上でスヤスヤ眠っている。
「寝かせられたんだね」
「雪ちゃんに手伝ってもらいましたけどね」

「へぇ〜雪ちゃんが赤ちゃんを寝かしつれるなんて、なんか意外だな…」
赤ちゃんを抱いた姿も想像つかないもんね…

「なんでも歳の離れた弟がいるって言ってたはよ…」
「そうなんだ、雪ちゃんのプライベートってあんまし知らないからな…」

雪ちゃんの前職は偶然聞いたことがあるけどね。
和彦さんも香澄も知ってるようだし、何より啓くんがねぇ。啓くんの今を知ったら雪ちゃんは…

「ところで、由乃さんにこの後一緒に飲まないかと誘われてさ」
「私は未成年ですけど…お話はしたいですねぇ」
「和彦さんがマッサージから帰ってきたら、だけど」
「お父様、なかなか戻ってこないのでは？」