ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 788
何処で飲むのかわからないけど、またああならないように酒はなるべく控えよう。
夏子さんだってあの時は笑って許してくれたけどね…
一応身なりはしっかりして、もう一度シャワーも浴びたりして準備は完了。
恭介はまだ寝てるみたいだし、お袋は結局ランチだったのかな…
夕飯の準備もあるだろうに、こんなことよくあるのかな?…
恭介一人に留守番させて、あの人はいったい何をやっているんでしょうかね…?
まあお袋もまだ40半ば…
花の青春を子育てに追われ、やっとそれにも解放されて羽を伸ばしたくなる気持ちもわからなくは無いけどね…
まあ今まで散々迷惑もかけただろうし、人数が多くて休む暇もなかっただろう。
今は自分たちでできるようになったしお袋にはゆっくり自分の時間を過ごしてほしいと心から思う。
…外で車のエンジンの音がした。
夏子さん、意外に早いな…
夏子さんが車なら、アルコールは無しってことだよね…
急いで玄関から出ると、助手席の窓がゆっくりと下り、夏子さんが笑顔を見せた。
あれぇ?…夏子さんが運転してきた訳じゃないのか…
僕は背を曲げて挨拶すると同時に、運転席を覗き込む…
あれぇ…この男……?
「私も飲みたいから運転手頼んじゃったぁ…匠くんも知っているでしょ?…営業二課の新庄くん…」
…おお、ここでまさかの新庄くんとの遭遇。
奥から覗く顔、こちらに小さくお辞儀している。
「ちなみに美玲ちゃんの彼氏くんね〜」
…その情報はいいです、本人から話聞いちゃったんで。
しかもマイナスの話をいろいろ。
「さあ早く乗って乗って!」
夏子さん、そんなに急がなくてもお酒は逃げませんって。